暴走族の騒音・目撃110番、兵庫で5千件超に急増 SNSで集合、服装は自由 アニメの影響も?

兵庫県内で暴走族に関する騒音や目撃の110番が2025年の1年間で5417件に上り、過去10年で最多となったことが、県警交通捜査課の調べで分かった。16年以降減り続けたが、新型コロナ禍の2千件台から一転して24年から急増傾向に。県警は取り締まりを強めるが、近年は暴走行為をする若者の集団形態に変化が見られ、暴走族としての実態把握は難しくなっている。(池田大介) 昨年7月、神戸市灘区の国道43号交差点で未明にバイクを集団で走らせたとして、県警は大阪府枚方市に住む16~18歳の少年ら21人を相次いで逮捕した。県警によると、少年らはそれぞれ自由な服装で「1人の誕生日を祝うため、友人を誘い合って(神戸市中央区の)メリケンパークを目指した」などと話した。 こうした誕生日祝いの集団暴走行為は「バースデー暴走」と呼ばれる。21年にも神戸、三木市や大阪府のグループの少年ら20人を神戸・メリケンパークからの帰路に摘発した。 22年には加東市の国道でも集団暴走容疑で10代の12人を逮捕。出身中学の友人や、交流サイト(SNS)で知り合った少年らがチーム「月華美奏」を名乗り、テレビアニメ「東京リベンジャーズ」や動画投稿サイトにある暴走族の映像に影響を受けたと話した。 ◇ ■ピークは2001年、コロナ禍で下火に 「毎晩うるさい」「寝られない」。市民が暴走族と感じた兵庫県警への110番は25年に5417件と1日平均で約15件に上った。 さかのぼると年間の通報件数はピークだった01年の1万4870件から減少を続け、10年前の16年は4681件、コロナ禍の20年は2317件だった。ところが21年から2千件台で増減するようになり、24年は前年比1・7倍の4957件と急増。25年は5千件を超えて10年前を上回った。 ただ24年以降の急増理由を県警捜査員は「明確には分からない」と話す。 ◇ ■県警も実態を把握しきれず 県警が把握する暴走族の数を見ると、01年の98グループ1758人をピークに減り続けた。取り締まり強化もあって16年に底を打ったが、緩やかに増減して20年以降は20グループ130人前後で推移しており、25年は21グループ129人だった。つまり、県警が把握する暴走族は増えていないのに通報だけが急増している。 その要因に指摘されるのが集団形態の変容だ。かつて県警は暴走行為で摘発し、グループ名を服に刺しゅうするなどした5人以上の集団を「暴走族グループ」と認定。だが最近はSNSを介して友人や知人同士で緩やかに集まり、自由な服装で走る傾向にある。 県警も実態を反映しきれていないとし、近年は認定の人数要件を緩やかにするなどしているが、摘発した若者自身に暴走族との自覚がないこともあるという。 県警交通捜査課の山本晋也次席は「騒音の原因となる不正改造車両や集団暴走は見逃さない。暴走族であるかどうかにかかわらず、取り締まりを徹底していくことに変わりはない」と話した。 【地縁型からネットワーク型へ】甲南大学文学部の阿部真大教授(社会学)の話 暴走族は1980年代に盛んになり、ドロップアウトした少年らの居場所として機能していた。一定の年齢で引退し、結婚して真面目に働くというライフプランも確立していた。ある意味で地域社会に包摂され、少年らを「社会化」させる役割もあった。 暴走族は一億総中流の時代が終わって衰退する。引退後のキャリアが不透明になり「かっこ悪い」というイメージも浸透した。ゆとり教育が導入され、管理教育下のように反抗するようなこともなくなった。 暴走族に関する110番が急増したという兵庫県警のデータは、暴走行為の増加を示すだろう。若い世代がアニメの不良を「かっこいい」と捉えたり、暴走したい若者らがSNSでつながりやすくなったりしたこともあるではないか。 従来の暴走族は地域に基盤を持つ「地縁型」だった。だが、現在はSNSを通じてイベント的に集まる「ネットワーク型」に変容している。暴走族ではなく「暴走ネットワーク」だ。 地元の大人と結びつき、一定の抑止力があった暴走族と異なり、地域に根差さず、流動的で個別化する。犯罪に取り込まれやすいなど危うさを増しており、注意が必要だ。

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