香港で独立系書店閉店相次ぐ 取り締まり基準のあいまいさ一因か

香港の多様性を支えてきた独立系書店が相次いで閉店に追い込まれている。当局は中国や香港政府への憎悪をあおる狙いがある書籍を販売したとして経営者らを摘発。書店からは「どの本が問題視されるのか判別するのは困難」との声が上がり、取り締まりの基準のあいまいさが萎縮を生んでいるとみられる。 「つかみどころのないレッドライン(越えてはいけない一線)も、もちろん原因の一つだ」 香港・九竜地区で記者経験者らが2022年に開いた「留下書舎」は7月14日にフェイスブック上で8月末で閉店すると発表。その理由として、経営難や厳しい香港の経済状況と並んで、当局の取り締まり手法を挙げた。 独立系書店の多くは民主派が経営し、大手書店が扱えない中国共産党の内幕ものや天安門事件、香港の民主化運動に関する書籍を並べてきた。20年の香港国家安全維持法(国安法)施行を受けて当局は取り締まりを強化。今年3月と6月には元民主派紙創業者の黎智英(れいちえい)(ジミー・ライ)氏の伝記などを販売していた書店など2店に捜査が入り、扇動する意図のある出版物を販売した容疑で店主らが逮捕された。 香港メディアによると、別の書店2店は7月の大規模ブックフェアへの参加資格を取り消された。貴重な収入源を断たれた格好で、うち1店は、店の賃貸契約が切れる来年4月に閉店すると発表した。 香港政府の鄧炳強・保安局長は4月、現地メディアの取材に対して、どの本が取り締まりの対象になるのか明かせないとした上で、「重要なのは書名ではなく、内容に扇動の意図があるかどうかだ」と主張。合法性に疑問があれば弁護士に尋ねればよい、と述べている。 「留下書舎」はフェイスブックへの投稿で「(販売する)全ての本を読むことはできず、どの本が『問題がある』のか判断する能力はない」と吐露。「能力と勇気が足りず、本を通じて知識を広めるという使命を果たすのは難しい」と謝罪した。【台北・林哲平】

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