一昨年に逮捕された後から一貫して無罪を主張してきたKADOKAWA前会長の角川歴彦被告。今年6月には容疑を否認したことで身柄拘束を長引せる「人質司法」で精神的苦痛を受けたなどとして、2億2千万円の損害賠償を求めて国を提訴していた。 角川被告は昭和20年にKADOKAWAの前身である角川書店を創業した角川源義氏の次男で、兄は天才プロデューサーとして知られる春樹氏(82)。兄と対立して一度は会社を去ったが、春樹氏が薬物事件で逮捕後に返り咲き、その後、社長や会長を歴任した。 いち早く出版物のデジタル化を推進した角川被告。漫画やアニメ企業を相次ぎ買収し、平成10年には出版社として異例の上場を果たすなど、社内の影響力は大きかった。 東京五輪を巡る汚職事件で起訴されて会長を辞任したが、今年6月には事件を振り返る手記を出版。長期勾留中の取り調べの実情を明かし、検察などを批判した。 国を提訴した際の記者会見では「社会に恥じない生活を送ってきた確信がある」などと訴えた。