1985年に熊本県内で男性が刺殺された「松橋(まつばせ)事件」をめぐり、2019年に再審無罪が確定した故・宮田浩喜さんが、当時の捜査や検察の対応は違法だったとして、国と県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が27日、福岡高裁であった。 岡田健裁判長は、検察の公判の対応を違法として国に賠償を命じた一審・熊本地裁判決を一部取り消し、県警の捜査について「任意捜査の限度を超えるものであり、違法であったといわざるを得ない」と判断。県に国と連帯して約2380万円を支払うよう命じた。 国側の控訴は棄却し、原告側の全面勝訴となった。 地裁判決は国のみに賠償を命じ、県の違法性は認めていなかったため、国と原告側の双方が控訴していた。 事件は85年1月に熊本県松橋町(現・宇城市)で発生。宮田さんは任意で長時間の取り調べを受け、男性を刺したと「自白」した。逮捕後には「シャツの布を凶器の小刀に巻き付け、犯行後に燃やした」とも供述した。 宮田さんは90年に懲役13年の刑が確定し、服役した。その7年後、弁護団は検察側が開示した証拠の中から、宮田さんが「燃やした」としていたシャツの布を発見した。 有罪の決め手となった「自白の信用性」が揺らいだとして16年に再審開始が決定され、19年に無罪が確定した。 宮田さんは20年9月に国や県に賠償を求めて提訴したが、翌10月に死去。裁判は相続人が継承した。