「警察の監視カメラ」の位置を示す無料の地図が米国で大注目

米国でいま、警察の監視カメラを巡る攻防が過熱している。渦中にいるのは、ナンバープレートを自動で読み取るカメラ(ALPR)を全米の警察に提供して急成長した新興企業Flock Safetyだ。「大規模監視を助長し、差別的な取り締まりやプライバシー侵害を招く」と住民の反発が強まり、導入を取りやめる自治体も現れている。 そこで存在感を増しているのが、無料データベース「Atlas of Surveillance」だ。警察がどの街でどんな監視技術を使っているかを、誰でも調べられる。デジタルプライバシー団体として知られる電子フロンティア財団(EFF)がネバダ大学リノ校と共同で運営しており、ジャーナリストや研究者の定番ツールになりつつある。 Flockを巡る対立は一つの都市にとどまらない。サウスカロライナ州では、新たに25台のカメラを設置するかどうかで当局者の議論が続き、コストや監督体制への疑問も浮上している。ロサンゼルス市は最近、Flock Safetyとの契約解除に踏み切った。同社のCEOは、市警が運用ルールを見直す間の一時的な停止にすぎないと主張している。 Atlas of Surveillanceが地図化するのは、ALPRだけではない。ドローン、顔認識カメラ、ボディカメラといった警察のテクノロジーを幅広くカバーし、同種のツールより頼りになる情報源として使われている。 使い方は簡単だ。米国の市、郡、州、警察機関、ベンダー名のいずれかを入力し、調べたい技術を選ぶ。すると該当する導入状況の一覧が、公文書や報道記事へのリンク付きで表示される。 「地元の議員でさえ、あるツールが使われていることを知らないという場面にしばしば出くわす」とEFFのシニア調査研究員Beryl Lipton氏は語る。「Atlas of Surveillanceに記録された技術について知ることで、そのツールが地域にふさわしいかどうかを話し合い、疑問を投げかけ、警察の使用基準を求める動きにつなげてほしい」 監視を監視する Flockカメラなどの監視システムを追跡するツールはほかにもあるが、筆者がEFFの手法を推す理由は、データの集め方にある。Atlasの情報は、ネバダ大学の学生や職員、経験豊富な研究者ら特定のボランティアが集めたものだ。政府文書、プレスリリース、報道、裏付けの取れたSNS投稿をもとに、どの警察・保安官事務所がどの監視技術をいつ導入したかをリスト化している。 例えば「Deflock」は、Flockカメラの発見場所を利用者が報告し合う人気アプリだ。オープンソース設計のため、監視機器と誤認しただけの報告が紛れ込みやすい。最近はカメラが速度標識やサボテンの中に隠されるケースまで登場しており、見た目頼みの自己申告は限界を迎えつつある。 筆者は実際に、いくつかの地域で検索を試した。その一つがジョージア州オールバニだ。同市では7月、市のFlockシステムへのアクセスを悪用したとして警察官5人が解雇・逮捕されている。Atlasでは、同市がいつFlockの運用を始めたかを含め、導入している技術の詳細を確認できた。 「警察がツールを持っていることは分かっても、運用ポリシーの有無や、データの保存期間といった中身までは分からない場合がある」とLipton氏は言う。 同氏は、AtlasとあわせてEFFの資料サイト「Street-Level Surveillance」を使うことも勧めている。警察に協力するサードパーティーベンダーの情報など、より踏み込んだ文書がそろっているという。 もっとも、ボランティア頼みのデータベースには限界もある。筆者の地元では、交通カメラの一覧は正確だった。一方、昨年FlockのALPRを導入し、住民の苦情を受けて撤去に至った経緯は載っていなかった。似た事情を持つ他の都市でも同じ傾向が見られた。収録は稼働中のプログラムが中心で、過去の記録は一部抜けている可能性がある。 それでも、警察がどんな技術を使っているかという情報は、本来住民が入手しにくいものだ。都市によっては、Flockのドローンやカメラを導入していながら、監視プログラムの発表時に「Flock」の名前を慎重に伏せる例さえある。Atlasのようなツールは、そうした監視の実態を住民の目に見える形にする。 Atlas of Surveillanceの活動には、サイトの「Collaborate」ページから情報を投稿する形で協力もできる。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。

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