作業員向けマッサージ施設で語った「未来志向」 容疑の竹中幹部、透ける業界の癒着構造

昨年の大阪・関西万博で、大手ゼネコン「竹中工務店」の社員が、関連工事を巡って不正を働いていた疑いが浮上した。大阪府警に19日に逮捕された河井辰巳容疑者(61)は社内で人柄が評価され、国際イベントの現場責任者に抜擢。会場でマスコミ対応も担い、建設現場を「従来にない未来志向」などと語っていた。疑惑が生まれた背景には、ゼネコン業界の〝悪習〟も指摘されている。 「元気に働いてもらえる環境を提供する必要があると考えた」。万博開催まで残り10カ月となった令和6年6月。竹中工務店の総括作業所長を務めていた容疑者は、建設現場で作業員向けのマッサージ施設を報道陣に公開し、意義を解説していた。 万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を念頭に置いてか、建設現場を「従来にない未来志向」とも表現した容疑者。竹中工務店のある幹部は「社内での評価は極めて高い。誠実で真面目な人柄で知られていた」と重責を託された理由を明かす。 その容疑者は19日、大阪府警に背任容疑で逮捕された。関係者によると、自宅や所有するマンション、親族が経営する飲食店の改修といった自身のプライベートの工事を、「万博関連工事費」として下請け業者から竹中工務店に請求させる形で、6000万円以上の利益を得ていた可能性がある。 水増し請求に関わっているとされる下請け業者について、業界関係者は「主要取引先として竹中工務店の名前が挙がっており、受注の大半を竹中工務店に依存している可能性がある」と話す。 元請けと下請けの関係性については、業界内の悪習が問題視されてきた。大阪府警は令和4年にも、下請け企業に工事代金を水増し請求させて会社に損害を与えたとする会社法違反(特別背任)の疑いで別の中堅ゼネコン幹部らを逮捕。このときの水増し額は約4500万円に上った。 下請けからの「キックバック」や「リベート(謝礼金)」が横行する要因として、建設工事紛争に詳しい杉原悠介弁護士(東京弁護士会)は、「大手企業からの継続的な発注を期待する下請け側の思惑がある」とみる。 杉原氏によると、建設会社の多くは現場責任者が下請け業者を選定し、「現場責任者の上司であっても、現場の推挙を無視できない」(杉原氏)。一方、元請け側にとっても技術力が担保され、現場で融通を利かせてくれる〝優良〟下請けとの関係維持は欠かせない。こうした相互依存の状況が現場責任者と下請け業者との間で不適切な関係が生まれる土壌となっているという。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加