またも過去の自分と戦う尹大統領…憲法裁の弾劾審判の弁論に「出席しない」意向表明

内乱罪容疑者の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、裁判所の発行した逮捕状を拒否する考えを重ねて表明しつつ、14日に予定されている憲法裁判所の弾劾審判の第1回目の弁論に出席しないことを明らかにした。口では「憲法を守る」と叫びながら、実際には法治を無視し、自身に都合よく憲法裁と捜査機関の要求に応じるなど、尹大統領は自身の安全ばかりを守ろうとしている、との批判を浴びている。 尹大統領を代理しているユン・ガプクン弁護士は12日、「高位公職者犯罪捜査処と国家捜査本部が違法で無効な逮捕状を違法な方法で執行しようと試み続けており、身辺の安全と不祥事が憂慮されるため、1月14日は出席できないことをお知らせする」と表明した。続けて「安全問題が解決されれば、いつでも出席する予定」と付け加えた。 尹大統領はこれまで、憲法裁の弁論に出席する考えを複数回にわたってほのめかしていた。先月17日、尹大統領側のソク・トンヒョン弁護士は記者団に対し、「尹大統領は(憲法裁の)法廷で堂々と信念に従って立場を表明するだろう」、「いつ公開弁論が開かれるかは分からないが、開かれれば当然そうする」と述べていた。今月5日にはユン・ガプクン弁護士も、「大統領は適切な期日に出席して意見を表明する予定」だと述べていた。 当時のこのような尹大統領の立場は、憲法裁の弁論を非常戒厳の大義名分を宣伝する場として利用しようとの意図がある、という分析があった。だが、公捜処などによる逮捕状の執行が可視化したことにより、「安全の保障」がなされるまでは出席しないことを表明したのだ。 尹大統領が14日の憲法裁の第1回目の弁論に出席しないことを予告したことにより、14日の弁論は当事者の欠席を理由として終了し、16日に本格的な弁論が行われるとみられる。憲法裁法上、弾劾審判の当事者は弁論に出席する義務があるが、期日に当事者が欠席すると裁判は空転し、改めて弁論期日を決めなければならない。新たに決まった期日にも尹大統領が出席しない場合は、当事者不在で審理が行われる。 法曹界の内外では、尹大統領は捜査と弾劾審判を揺さぶるために言い訳と詭弁(きべん)で一貫しているという批判が出ている。元憲法研究官のノ・ヒボム弁護士は、「公捜処に弾劾審判の弁論期日には逮捕状を執行しないと言われても、尹大統領は出てこないだろう」とし、「尹大統領は事件を理念闘争にするとともに、すべての手続きに法的瑕疵(かし)があるかのように主張することで、保守の激烈支持層を結集させる時間を稼いでいると思われる」と指摘した。 法律家出身の尹大統領がこのように法治を真っ向から無視するのは不適切だ、と指摘する声もあがっている。延世大学法学専門大学院のイ・ジョンス教授は、「任期中これまで法と秩序を強調してきた尹大統領が、裁判所が適法に発行した逮捕状を否定していることなどは、非常に遺憾で不適切」だと述べた。 キム・ジウン、カン・ジェグ記者 (お問い合わせ [email protected] )

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