半年間のために巨額の公費を注いだ大阪・関西万博が、十分な検証もないまま、「成功」「黒字」のイメージだけを広げて多くの課題を置き去りにしている。 折しも、そのシンボルだった「大屋根リング」を巡る関連工事で不正が発覚し、大手ゼネコンの責任者が逮捕される事態に至った。 建設費が膨張する中、国民の負担した税金がかすめ取られた可能性がある。 万博を巡っては工事代金の未払いなども相次ぎ、カジノを軸とした統合型リゾート施設(IR)と絡む跡地開発は、政治や経済の思惑が錯綜(さくそう)している。 おざなりな最終報告で「レガシー」(遺産)を自賛するのでなく、負の側面を含め今後の官製イベントの在り方を直視したい。 万博会場建設で、竹中工務店の現場責任者だった元作業所長を大阪府警が背任の疑いで逮捕した。 元所長はリング建設に絡み、約1370万円分を下請け事業者に水増し請求させ、会社に損害を与えたとされる。自宅改装などに充てたといい、同様の手口で総額は6千万円以上に上るとみられる。 捜査当局には広い視野から、事件の全容解明を求めたい。 万博工事はトラブルが続出した。タイ館などの無許可工事の疑いで建設会社が書類送検され、11カ国の海外館工事などで工費の未払いが問題になった。 東京五輪の贈収賄汚職や入札談合では、寄り合い所帯の無責任体制や、巨大イベントにつきまとう利権の構造が背景にあった。 万博でも、大阪府・市、関経連、国などが作る協会の統治不全が何度も指摘された。建設費を巡り、当初から倍増して2350億円に膨らんだのが象徴だろう。3分の1は国費である。 6月の万博最終報告は、運営費だけでみると最大370億円の黒字見込みとし、成功を強調した。大阪で「レガシー継承」に活用するというが、経緯からみれば国庫に戻すのが筋ではないか。 万博は2820万人の想定に対し、2558万人が来場した。過半数は大阪と兵庫からで、京都5%、滋賀2%。外国人客の割合は、予想の半分の6%だった。大阪集中により、京滋は宿泊や物販が減ったとのデータもある。 人口減少が加速し、持続可能な社会の構築が求められる中、半年のために建てて壊すイベントには、批判がつきまとった。その検証と総括は、政府や国会が有識者も交え、客観的に行うべきだ。