オートロックのマンションの「共連れ」に対する警戒が強まっている。つい先日、神戸市須磨署は、エレベーターで女性に抱きついたとして同市内に住む35歳の男を逮捕したが、この犯行でも「共連れ」が利用されたと見られている。 「共連れとは、オートロックマンションで、住人が入るタイミングに便乗して、一緒にマンションの敷地内に入ることをいいます」 こう話すのは、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏。 「兵庫県内では、昨年8月にも『共連れ』を犯行の足がかりとした殺人事件が起きたばかり。一連の事件を受け、共連れは現代の新たな凶悪犯罪のパターンとして、広く知られつつあります。 兵庫県警は、共連れの予防策として、 マンションの共用玄関(特にオートロック)に入るときに、 後ろから一緒についてくる不審者には十分に注意することや、オートロック内に入る前にまわりを見回し、ついてくる人がいないかどうか確認すべきことなどを呼びかけています」 さらに平塚氏は… 「エントランス付近に見かけない住民がいた場合などは、不安なままエレベーターへ向かわないことも重要ですが、最近多く見かけるイヤホンをしたままの歩行、注意力が散漫となる『ながらスマホ』も、犯罪者に目をつけられかねませんので気をつけましょう」 今回取材に応じてくれたのは、人口100万人を超える地方都市に住む会社員男性・Tさん。Tさんは昨年まで住んでいた単身者向けマンションで、エレベーターの利用をめぐって度々不快な思いをしたという。どういうことか。 「共連れのことは知ってます。マンションに限らず、女性と2人きりでエレベーターに乗る状況になったら、先に1人で行ってもらうなどの配慮をする男は多いと思います。私もそうです」 昨年まで住んでいたマンションは駅近物件だったこともあり、同じマンション住民と帰りが一緒になる機会が度々あったそうで… 「同じ電車に乗ってきちゃうこともありますよね。そんな時は、気まずくなりたくないから、歩く速度を変えるなど、私以外の皆さんも誰とも鉢合わせしないように工夫していたと想像します」 それでもTさんがエレベーターに乗り込んだ時、ちょうど人が自動ドアを入ってくることもある。 「そのマンションはエレベーターから自動ドアが見える造りだったので、帰ってきた人が女性だと、リアクションが難しかったんですよ。 女性住人が先に乗り込むところを見かけた時は、ポストの方へ行ったり隠れたりして先に行かせましたが、自分が先に乗ったあとも誰かが自動ドアから入って来た時は、反射的に『開』ボタンを押してしまうこともありました。 人によっては気にしない女性もいましたが、顔と行動パターンを一致させるまでに時間がかかり、何度も同じ女性に不愉快な態度を取られてしまったんです。 顔見知りになった人の多くは、そのうち平気で乗り合わせるようになっていきますが、ある女性は一貫して『先に行かれてくださーい』とめちゃくちゃ冷たく言ってましたね。イラっとしちゃって」 さも「一緒に乗るわけないでしょ?何言ってるの?」とでも言いたげに、吐き捨てるようにそう言われることが不快でならなかった、とTさん。 「行かれてください、という日本語もなんか腹立って…それはさておき、何度も顔を合わせたことがあって、同じマンションの住民同士だということがわかっているわけでしょう。最終的にはその人を見たとたん『閉』ボタンを押すようになりましたが… 警戒して同乗しないことは女性にとって大事な防衛策なのでしょうけど、あんな言い方されると、こっちも傷つきますよ。いつも悔しくて、『悪いけど、鏡見てから言えよ。アンタになんて全く興味ねえよ。自意識過剰だろ』と心の中で言っていましたね」 Tさんに不快な思いをさせたというその女性、実は、後に引っ越したいと思うまでにTさんを追い詰めた張本人だというから驚きである。 【関連記事】「あんまり私と…」同じマンションの住民女性がポストに入れた2通の手紙。30代会社員が転居を決めた「まさかの理由」 ※本記事で使用している写真はイメージです 【取材協力】平塚俊樹:危機管理コンサルタント【聞き手・文・編集】笹塚茉奈美 PHOTO:Getty Images【出典】兵庫県警:子供と女性のセーフティニュース