闇バイトの怖さを、ゲームを通して疑似体験してみよう。栃木県矢板市教育委員会は9月、「地域のチカラで闇をたて―レイの失踪体験―」を開く。闇バイトによる犯罪が社会問題になる中、若者に限らず、あらゆる世代が、加害者にならないように対策を体感できる。 栃木県上三川町での強盗殺人事件、東京都新宿区内で発生した強盗未遂事件など、闇バイトに応募した高校生らが実行役として逮捕される事件が相次いでいる。 県内の高校2年生約1万6千人を対象に、県などが7月に行った闇バイトに関するアンケート(約8千人回答)では、21%が「高収入」「高額報酬」などをうたった募集を見聞きしたことがあると回答。15%が「実際に勧誘を受けたことがある」と回答した。また、「収入が魅力的」「仕事が簡単そう」などの理由で「応募したいと思ったことがある」は1.6%だった。 知らないうちに犯罪に関わる募集に誘導されることに対し、「とても不安を感じる」「少し不安を感じる」は計71%。誘われた場合の相談先には、親などの保護者▽友人・知人▽警察▽学校の先生などが挙がった。一方、「相談しない」は12%あった。理由は「自分で判断できるので相談しない」「相談しても意味がないから」「相談する相手がいない」など。また、県警の相談窓口「ヤングテレホン」「#9110」を知らないとの回答は71%に上り、相談しやすい環境づくりも課題となっている。 矢板市教委は、犯罪に関する知識不足だけでなく、SNSでの不用意な情報発信、孤独感、経済的不安、相談先がないなど複数の要因が重なり、誰もが闇バイトに巻き込まれる恐れがあるとして、若者に限らず、幅広い年代を対象に参加を呼びかけている。 イベントで使う教材は「レイの失踪」という謎解きゲーム。全国の中学校、高校などでも用いられている。参加者は、人気動画配信「レイちゃんねる」の配信者仲間として、失踪した高校生レイのSNSに残された怪しい求人サイトの履歴、不審人物からのダイレクトメッセージなどから失踪の真相に迫る。実際の事件をもとに闇バイトに勧誘される過程などが再現されている。 ゲームを通して、(1)「高収入」「簡単に稼げる」などの甘い言葉の裏にある危険を見抜く力(検証スキル)を養い、(2)実際の被害事例から個人の情報を守ることの大切さ(情報発信のリテラシー)を知り、(3)自分や友人が巻き込まれるなどした際の相談窓口などの対処方法(リスク回避)を学ぶことができる。 市教委は、闇バイトの危険性を疑似体験した参加者に「自分ならどうする」と考えてもらい、「困ったときに相談できる人がいること」「日頃から人とつながっていること」「地域全体で若者を見守ること」が犯罪防止につながるとの共通認識を広げたいという。 このほか、矢板東高校の生徒による闇バイトに関する探究内容の発表、闇バイトの実態や注意点についてのトークセッション、参加者の感想共有などが予定されている。 イベントは9月19日午後1時半~4時、矢板市末広町の市文化スポーツ複合施設多機能ホールで。問い合わせは、市教委生涯学習課(0287・43・6218)へ。(今井清満)