7月、バリ島で人気のランニングクラブが、外国人の振る舞いをめぐる議論の焦点となった。バリ島では、現地のルールや習慣を無視する外国人の取り締まりが強化されている。取り締まりが厳しくなる一方で、バリ島のデジタルノマドとしての魅力が失われている兆候はほとんど見られない。 毎朝、ランニングクラブの一団が、バリ島南西部の海岸にあるにぎやかなビーチタウン、チャングーの通りを駆け抜ける。 ジュリコ・ヌグラハ(Juryco Nugraha)がタトゥースタジオを営む建物の脇にある狭い道も、その一団は頻繁に通る。ケインというニックネームで呼ばれるヌグラハはスタジオの2階に住んでおり、彼らの存在には慣れている。「足音も聞こえるし、話し声も聞こえる」と彼は言う。 しかし時折、午前5時半ごろになると、より大きく騒がしい集団がやって来ることがあった。彼のスタジオの前を通り過ぎながら、歌ったり歓声を上げたりしていたという。 チャングーには数多くのランニングクラブがあり、その一つである「アントラージュ・バリ(Entourage Bali)」のランニングイベントは、どうしても目に入ってきた。ネット上で拡散している「サイレントディスコ・ラン」の動画には、光るヘッドホンを身に着けたランナーが道幅いっぱいに広がり、トラックの荷台に乗ったDJが彼らを先導している様子が映っている。 7月、ソーシャルメディアへの投稿で、アントラージュが地元の応募者を差別したと指摘されたことを受け、同クラブはより大きな議論の焦点となった。 この一件はデジタルノマドのコミュニティにも波紋を広げ、ネット上では大きな反発を招いた。この問題をめぐるレディット(Reddit)のスレッドには500件を超えるコメントが寄せられた。バリ州の上院議員ニ・ルー・ジェランティック(Ni Luh Djelantik)も、アントラージュのランニングの動画を再投稿し、当局に調査を求めた。 この投稿をInstagramで見る Ni Luh Putu Ary Pertami Djelantik(@niluhdjelantik)がシェアした投稿 7月24日、入国管理当局は、同クラブに関係するオランダ人2人の入国を禁止したと発表した。2人はいずれも7月23日に出国しており、インドネシアへの再入国を禁じられた。インドネシア当局は、2人に関してイニシャル以外は公開していない。当局は、このランニング・イベントが入国管理規則に違反した疑いがあるとして、主催者に対するさらなる調査を命じたと、国営アンタラ通信が報じた。 バリ島はさまざまな観光の波を経験してきた。『食べて、祈って、恋をして』に影響を受け、スピリチュアルな雰囲気を求めて訪れる観光客やヨガ研修生、春休みにパーティで大騒ぎをしたい学生など、幅広い人々を引き付けてきた。 パンデミック以降、リモートワークの普及によって、場所を選ばず働ける人が増えたこともあり、バリ島は世界有数のデジタルノマドの拠点としての地位を確立した。 島を訪れる観光客が増加するなか、アントラージュをめぐる一件は、外国人がバリ島でどのように暮らし、働き、ビジネスを行うべきなのかという議論に、新たな火種を投じている。