「私は取り調べを拒否します」警察の留置施設内でこう書かれたTシャツの着用を禁じた警察の対応は違法だとして、男性が大阪府に損害賠償を求めた訴訟。 大阪地裁は17日、「トラブルを誘発するおそれがあった」として警察側の対応を適法と認定し、男性側の訴えを退ける判決を言い渡しました。 訴状などによりますと、男性はおととし逮捕され、大阪府警淀川署に留置された際、担当の弁護人からこのTシャツが差し入れられました。 しかし、男性側は警察の担当者が「同室のほかの容疑者も見て、調べをうけなくなる」などとしてTシャツの着用を認めず、男性に手渡すことすら拒否したと訴えています。 弁護人が抗議したところ、府警本部は「留置施設の規律と秩序を害するおそれがある」と回答したということです。 男性側は去年3月、「文字だけでおそれは生じ得ず、法的根拠のない不利益処分だ」などとして府に対し150万円の損害賠償を求めて提訴し、府は請求の棄却を求めていました。 17日の判決で大阪地裁の荒谷謙介裁判長は、「取り調べは容疑者にとって大きな関心事であり、Tシャツの文言が他の容疑者の注目を集め、連鎖的に私語や口論などを誘発するおそれがあったという警察の評価は不合理ではない」と指摘しました。 さらに、数日前に羽曳野警察署で同じTシャツを見たほかの容疑者らが、実際に興味を示して発言する事案が起きていたことに言及。 加えて、当時の淀川署には18人の容疑者に対し看守が4人しかおらず、Tシャツを着て移動すれば最大10人の目に触れる施設の構造だったことなども踏まえ、「口論が激化して施設内全体が騒然となった場合、警察官が指示しても事態の収拾や秩序の維持が現実的に困難になるおそれがあった」と認定しました。 これらの事情から、着用を認めなかった警察の判断に「裁量権の逸脱や濫用はなかった」として適法と結論づけ、男性側の訴えを退けました。 判決を受け、男性側の代理人・松田真紀弁護士は、「判決は、警察による法律の恣意的解釈や運用の裁量を過度に認めており、被疑者・未決拘禁者の無罪推定原則を軽視した判断と言わざるを得ません。本件の本質的な法的論点および事実関係に十分に向き合わないまま結論を導いた点には強い疑問が残るため、控訴のうえ厳正な法的判断を求める予定です」とコメントしています。