《ブラジル》ツヴァイクを魅了した「未来の国」=理想郷ブラジルと独裁の現実=「人種融和の楽園」に翻弄された晩年=寄稿 サンパウロ在住 毛利律子

シュテファン・ツヴァイク(18881〜1942年)は、ブラジルの多様性と平和な共生に深く感動し、名著『ブラジル、未来の国(Brasil, País do Futuro)』を著した。ブラジルのキャッチフレーズである「未来の国」の生みの親だ。 彼は、オーストリアのユダヤ系作家・評論家で、1930年代から40年代にかけて大変高名で、多くの伝記文学と短編、戯曲を著した。その高名な知識人が、ブラジルを、ヨーロッパの「過去の文明」に代わる、人類の「未来文明のモデル」として描き、人生最後の避難所(ユートピア)として1941年に亡命し、リオデジャネイロ近郊のペトロポリスで暮らした。 彼がこの地に見出した「理想郷(ユートピア)」は、単なる美しい自然に恵まれた国ではなく、人種混交による白人、黒人、先住民が混ざり合い、「人種問題に世界で最も幸福な解決を与えた国」であった。 ところが彼の亡命生活は1942年2月22日、亡命して一年足らずの生活で、妻とともに自殺、60歳の生涯を終えたのであった。

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