「海外に行ける」「リゾート地で高収入」。そんな誘いに応じて海外に渡航し、現地の特殊詐欺拠点からだましの電話をかける「かけ子」をさせられるケースが絶えない。 警視庁は、渡航先で特殊詐欺に関わった可能性のある日本人の帰国情報を得て空港に出向き、事情を聴くなどし、海外の詐欺拠点の実態解明を進めている。 警視庁によると、SNSで仕事に応募したケースだけでなく、知人から「ホテルをレビューする仕事」と紹介されたり、海外で観光中に声をかけられたりして、詐欺拠点に連れて行かれた人もいたという。 いったん拠点に入ると、自由を奪われて帰国できなくなり、身に危険が及ぶ可能性もある。 「ビルの6階から突き落とされた」「監視役が居眠りするかけ子にスタンガンを当てていた」などと証言する人がいたほか、滞在3日目にビル3階の部屋の鉄格子を外して逃げ出そうとした人もいたという。 ■関わるな、匿流 警察庁によると、カンボジアやインドネシアなど海外の詐欺拠点が現地当局に摘発され、日本に移送された後に検挙された人は、26年1~6月で37人に上り、前年同時期より27人増えた。 こうした実態を若い世代に知ってもらおうと、警視庁は18日、体験談を元にした漫画動画を作った。 そのうちの一つの動画は約90秒で、女性が「海外リゾートで高収入」とうたうSNSのバイトに応募し、渡航先でかけ子をさせられ、帰国が難しい状況に追い込まれていくといった内容だ。警視庁匿名・流動型犯罪グループ対策本部のサイト(https://tokuryutai.jp/)で公開している。 匿流本部の植田哲也戦略企画官は「匿流に加担すると自分や家族に危害が加えられる恐れがある。人生が崩壊する。匿流に関わらないでほしい」と呼びかけた。(西岡矩毅)