「彼女からの電話で自宅に駆けつけると、2階には血だらけの男が倒れていた。あの事件の捜査が、政治家の権力に影響を受けていいはずがない。あの夜、何があったのか。遺族が真相解明を求める裁判が始まった今、俺が知るすべてを話します」 「週刊文春」が初めて「木原事件」を報じてから3年。記者の取材にこう口を開いたのは、事件の重要参考人・Y氏である。(初出: 「週刊文春 電子版」 2026年8月5日配信) ◇◇◇ 蝉時雨が降り注ぐ7月29日午後、その男性は、緑豊かな区立公園に隣接する住宅街を訪れた。 「あの時と変わってないな」と呟き、今は家主が替わった2階建ての古びた一軒家を見上げる。この地を最後に訪れてから20年の歳月が流れていた。 「冥福を祈りたい」 そう言うと、住宅に向かって20秒間手を合わせ、深く一礼するのだった。