「宿題しなさい!」「早くして!」――子どもの将来を思うからこそ叱る、その行為に親は知らずのうちに依存しているのかもしれない。教育のために、叱るよりも有効な手立ては何なのか? 『もう叱りたくないと思ったら読む本』に、精神保健福祉士の斉藤章佳さんが依存症臨床の視点から寄せた書評を紹介する。 *** 『〈叱る依存〉がとまらない』のベストセラーを経て上梓された本書『もう叱りたくないと思ったら読む本』は、マンガという媒体を用いながらも、その根底には依存症臨床の核心が見事に組み込まれています。この本は単なる「育児のノウハウ本」にとどまらず、「処罰感情や衝動(怒り・威圧)への依存プロセス」とそこからの「回復のプロセス」を描いた優れた臨床書です。ということで、ここではアディクションアプローチ(依存症者やその家族への援助)の視点から、本書で描かれる日常風景の裏に隠された「叱る」病理を深掘りしていきたいと思います。