沖縄県宜野湾市のアパートで女性が刺されて死亡した事件で、殺人容疑で逮捕された元交際相手が、女性の車につけた紛失防止タグが警察署にあると知っていたという趣旨の供述をしていることが9日、県警への取材で判明した。元交際相手は当時、ストーカー規制法に基づき、つきまとい行為などの禁止命令を受けていた。県警は、位置情報を特定できるタグを女性の車につけたと警察に知られたことが、事件の動機になった可能性があるとみて追及する。 事件は9月30日に発生。宜野湾市のアパートで女性(23)が刺されて倒れているのが見つかり、その場で死亡が確認された。同日、元交際相手で宜野湾市の無職、中村響(ひびき)容疑者(25)が那覇市内で首や腕などにけがをした状態で見つかり、県警は回復を待って10月7日に殺人容疑で逮捕した。 県警によると、中村容疑者は「間違いありません」と容疑を認め、「自分の気持ちが伝わらなかったことに不満があった」と供述している。自身のけがについては「自殺しようとした」と話しているという。 亡くなった女性は2025年末、県警宜野湾署に「別れた彼氏からの電話やLINE(ライン)をやめさせてほしい」と相談していた。県警はストーカー規制法に基づき、男性に警告。26年2月には同法に基づき、禁止命令を出した。 女性は9月20日、車に紛失防止タグが付けられていると、宜野湾署に相談。署はタグを証拠品として保管した上で女性に避難を勧めたが、仕事の都合などから実現しなかった。 紛失防止タグは位置情報をスマートフォンの地図で確認できる。県警は中村容疑者がタグの位置情報が警察署を示していることに気づき、女性を襲った可能性があるとみて詳しい経緯を調べる。女性の安全確保の対応が適切だったかどうかについては「事件の詳しい経緯を捜査する中で、検証していく」としている。 ストーカー問題に詳しい富山大の鈴木拓朗講師(犯罪心理学)は「ストーカー事件では、被害者が警察に相談したことを知った加害者が逆上し、予想できない行動に出る場合がある」と指摘。今回の事件について「被害者の車にタグが付けられていると分かった時点で、県警はすぐに加害者に接触すべきだったのではないか」として、対応の検証を求めた。【喜屋武真之介、平川昌範】