内乱などの容疑で逮捕された尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が21日、憲法裁判所での弾劾(だんがい)審判に出廷した。過去に大統領として弾劾訴追された盧武鉉(ノムヒョン)氏、朴槿恵(パククネ)氏は出廷しておらず、歴代大統領で初めて。尹氏は昨年12月に「非常戒厳」を出したことについて内乱にはあたらないと主張しており、こうした考えを法廷で自ら述べる可能性がある。 尹氏はスーツ姿で出廷した。冒頭で発言の機会を与えられ、「公職生活をしながら自由民主主義という信念一つを確実に持って生きてきた人間だ。憲法裁判所も憲法守護のために存在する機関であるだけに、詳しく調べてくださるよう願う」と述べた。 尹氏が非常戒厳を出した後、映像での談話の発表以外で公の場に姿を見せるのも初めて。尹氏の弁護団は、今後も原則として尹氏がすべての弁論に参加する意向だとしている。韓国メディアによると、尹氏は身柄を拘束された状態だが、希望すれば出廷できるという。 この日は、尹氏の罷免(ひめん)の可否を判断する弾劾審判の3回目の弁論。野党議員らで構成される国会の訴追団が提出した、非常戒厳の当日の中央選挙管理委員会の監視カメラの映像などが証拠として採用されており、一部の映像が法廷内で流される見通しだ。次回の期日からは証人が出廷する予定。 尹氏の逮捕状を出したソウル西部地裁に尹氏の支持者の一部が乱入する事件が起きた直後だけに、憲法裁の周辺は警察が厳重に警備している。この日も支持者らは周辺に姿を見せたが、通行が規制されて憲法裁の前には近づけない状態だ。聯合ニュースによると、警察は機動隊約4千人を配置したという。(ソウル=太田成美)