突然「警視庁捜査2課の○○です」と電話→警察手帳・逮捕状を見せられる…“警察官装う”詐欺が急増 若い人も騙される手口とは?

警視庁管内で過去最悪を記録した「特殊詐欺被害」。高齢者だけではなく、若い人も多く騙されているという。驚きの手口と対策について、テレビ朝日社会部の加藤聖也記者に聞いた。 加藤記者は特殊詐欺の定義について「特殊詐欺とは、犯人が電話やハガキなどで親族や公共機関の職員等を名乗って被害者を信じ込ませ、現金やキャッシュカードを騙し取ったり、ATMを操作させ犯人の口座に送金させる犯罪のことだ。親族や市役所等の職員になりすまし、騙し取る“オレオレ詐欺”や給付金が戻ると偽り、ATMを操作させて振り込ませる“還付金詐欺”などがある」と説明。 特殊詐欺が去年、過去最悪を記録したことについては「去年は11月末時点で約120億円の被害が出ている。被害が多くなる12月分の数字を除いた段階でこれまでの最高額である2018年の約89億円を上回った」と説明。 被害額が最多になった要因については「認知件数はそこまで変わっていないが、一件一件の被害額が大きくなっている。これにはネットバンキングの利用で“振り込ませる手口”が増えた影響もあるだろう。さらに、“警察官をかたる詐欺”も増加している」とした。 警察官をかたる詐欺とはどのようなものか? 「突然自分の携帯に『警視庁捜査2課の加藤です』などと電話がかかってきて『あなたは詐欺事件の容疑者になっています。詐欺事件で犯人を逮捕したがその犯人はあなた名義のカードを持っていた。このままだと、あなたは逮捕されます』などと、状況もわからないまま『容疑者』や『逮捕』といったワードで脅される。そして『話が聞きたいので今から県警に来て下さい』と言われ、事情が分からず困惑していると、『LINEでビデオ通話できますか?』という流れになる。普通、『警察官がLINE?』と疑問に思うはずだが、いきなり逮捕などと言われると、パニックになってしまい、流れで応じてしまうことが多い」 ちなみに、どのようなケースにおいても警察官が公務でLINEを使うことは絶対にないという。 「LINEに移動してやり取りをすると、偽物の『警察手帳』や『逮捕状』を見せられる。この時、警察官のような恰好をした人が、警察手帳のようなものを見せてくると本物だと信用してしまう人も多い。その後は口座残高を聞かれ、『あなたの口座にあるお金が犯罪に使われている』『調査のために口座の金を振り込んで欲しい。お金は調査が終わったら返す』などと言い、全資産を振り込むように要求される」 実は今までも警察官をかたる詐欺はあったが、警察官は“登場人物の1人”だった。しかし、いまは警察官が“主役”になっており、件数もおととしは3件だったものが、去年は10月末までに452件になっているという。 警察官をかたる詐欺の特徴については「一つは被害者の年代だ。去年、オレオレ詐欺全体としての被害者の8割は60代以上。ただ、警察官がたりに限っては、被害者の7割以上が50代以下。若い人も被害にあっているのだ。もう一つの特徴は被害額だ。この警察官がたりは、とにかく被害額が大きい。去年11月末時点で、オレオレ詐欺で1000万円以上被害を受けた被害件数は193件で被害額は約50億円。そのうち警察官がたりは124件で被害額は約29億円だ」と説明した。 【1000万円以上を騙し取られた高齢女性のケース】 「彼女は『警察手帳を示され信じ込んでしまった』と話した。さらに『このことを他言すると、特定秘密保護法違反になる』と脅され、誰にも相談できなかったという。この方のケースは『旦那さんに逮捕状が出ている』と言われていたものの目の前にその旦那さんがいたという。だが気が動転してしまった。しつこく預金残高を聞かれ、女性がわからないというと、ATMで確認するよう求めてきたという。女性は旦那さんの無実を証明したいと急いでATMに向かい、口座番号や残高などを伝えてしまい、ネットバンキングから3回にわたって1000万円以上を振り込んでしまった。冷静になれば、なぜ騙されてしまったのかと思うが『お金を振り込めば旦那は助かるかもしれない』と思い、言われるがまま払ってしまった」 対策としては、「まず『警察官は公務でトークアプリは使わない』『警察手帳や逮捕状の画像を送ることもしない』と知っておくこと。そして、少しでも怪しいと感じたら電話をすぐに切って警察相談専用電話『#9110』 に連絡をして確認すれば詐欺かどうかはすぐにわかる。『110』は事件・事故など急を要するときにかけるもの。『#9110』は犯罪や事故にあたるのか分からないけれど、特殊詐欺など警察に相談したいときにかけられる警察相談専用電話だ」と説明した。 (ABEMA/ニュース解説)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加