一般社会から断絶された“塀の中”で何が起きているのか――。 刑務所問題をライフワークとする記者が、全国各地の“塀の中”に入り、そこで見た受刑者の暮らしや、彼らと向き合う刑務官の心情をレポートする。 今回は、“海の上の刑務所”について。 北海道の函館刑務所には、全国唯一の独自の職業訓練プログラム「船舶職員科」があり、受刑者が国家資格である「5級海技士(航海)」「内燃機関5級海技士(機関)」のいずれかを取得することができる。なお、訓練に使われる練習船「少年北海丸」は、辻仁成氏の芥川賞受賞作『海峡の光』の舞台にもなっている。 少年北海丸に乗り込んで実習訓練を受けることができるのは、全国の刑事施設から面接などの試験をパスしてきた模範的な受刑者たちだ。取材当時(2016年)には8人の受刑者が国家資格取得を目指して訓練に励んでいた。(第3回/全8回) ※ この記事は、テレビ朝日報道局デスク・清田浩司氏の著作『塀の中の事情 刑務所で何が起きているか』(平凡社新書、2020年)より一部抜粋・構成しています。