自ら指を切断したにもかかわらず、国民健康保険制度適用の負傷と誤信させて医療費の支払いを免れたとして、県警組織犯罪対策課と岐阜中署は10日までに、詐欺の疑いで、特定抗争指定暴力団山口組弘道会若頭、野内正博容疑者(58)=岐阜市六条北=ら男3人を逮捕した。故意の負傷は国民健康保険制度の適用外となる。同課によると、同様の事案での逮捕は全国初とみられる。 他に逮捕されたのは、弘道会幹部の小澤達夫容疑者(53)=東京都目黒区碑文谷=と、傘下組織組員の宇野誠哉容疑者(34)=岐阜市梅河町=。県警は3人の認否を明らかにしていない。 野内容疑者の逮捕容疑は共謀し、2023年2月23日、自らの意思で指1本を切断したのに過失による負傷と都内の医療関係者に申告、同年3月9日には県内の医療機関でその事実を隠して受診し、本人負担分を除く医療費計約4万5千円の支払いを免れた疑い。 小澤容疑者は2月の事件、宇野容疑者は3月の事件に関与した疑いが持たれている。 同課は「“指詰め”は暴力団の風習だが、社会的に非難されるもの。一石を投じた」としている。 野内容疑者と宇野容疑者は他人名義のETCカードを使って高速道路を通行し料金の割引を受けたとして、9月18日に県警に逮捕され、岐阜地検は今月9日に処分保留としていた。