尹大統領「湖の上の月影を追うような感じ…逮捕、それは常識的に可能なことなのか」

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が4日、憲法裁判所弾劾審判第5回弁論に出席して「今回の事件を見ると、実際には何事も起こらなかったのに、指示をしただの受けただの、このような話がまるで湖の上に浮いている月影を追いかけていくような感じを受けた」と話した。戒厳当日、問題になるようなことは起きなかったという趣旨の発言だ。 尹大統領はこの日午後2時30分から憲法裁判所大審判廷で開かれた李鎭遇(イ・ジヌ)前首都防衛司令官に対する証人審問以降、発言の機会を得てこのように話した。この日憲法裁判所は尹大統領が直接証人に審問することを許可せず、審問手続きが終わった後、意見陳述の機会を付与した。 尹大統領は意見陳述を通じて「国軍統帥権者として立派な将校の陳述にあれこれ言いたくはない」と話した。その一方で「後で撤収指示があったが(国会議員逮捕など)それが果たして常識的に可能なことなのか、もちろん人によって記憶が違っていて、記憶に基づいて話すことについて大統領としてあれこれ言うつもりはないが、常識に基づいてみれば事案の実体がどういうものかよく知ることができるのではないかと申し上げたい」とした。 続いて「全般的に(証人審問で)出てきた話の趣旨は首都防衛司令部が十数人程度が国会にやっとのことで進入し、銃器も携帯していなかった。そして、数千人の民間人が(国会)敷地内にいたものとみられ、議事堂本館にも数百人がいた」としながら「秩序維持のために特殊戦司令部要員も明かりの消えた窓ガラスを破って入ったが、消火器攻撃を受けて全員出てきた」と話した。 尹大統領は「そのような状況で軍撤収を指示して戒厳を解除して軍の撤収が行われたが、それ(政治家逮捕)が果たして常識的に可能なことなのか」と反問した。 この日、国会側の証人として出席した李鎭遇前司令官は、昨年12月31日付で内乱重要任務従事などの容疑で拘束起訴された。李前司令官は非常戒厳宣言前に金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官の指示を受けて首都防衛司令部の兵力を国会に出動させ、警察の協力を受けて現場兵力を国会の敷地内または国会議事堂の内部に進入させたという容疑がもたれている。 李前司令官はこの日、尹大統領代理人団の「大統領から誰かを逮捕するよう指示を受けたことがあるか」という質問に「ない」と答えた。また「兵力投入指示は戒厳法に基づく適法指示だったか」という質問には「国軍統帥権者である大統領が、そして検察総長まで務めて法について誰よりもよく知っている方が、国民に対して放送を通じて話をしているのに、それが違憲・違法だと考える余地がなかった」と答えた。 反面、李前司令官はこの前に行われた国会側代理人団の質問にはほぼ答えなかった。李前司令官は「刑事訴訟法に基づいて公訴が提起された状況で厳重かつ重要な状況であるのは分かるが、(答弁が)非常に制限されることを了解してほしい」として事実上証言を拒否した。 一方、呂寅兄(ヨ・インヒョン)前国軍防諜司令官もこの日証人として出席し、関連の陳述をしなかった。 呂前司令官は国会側代理人団の「非常戒厳宣言直後、金竜顕前国防部長官から逮捕対象者14人の名簿を受け取ったことがあるか」という質問に「申し訳ないが、刑事裁判に関連した事項なので詳細に述べることはできない」と答えた。続いて「キム・デウ捜査団長に名簿を手帳に書けと言ったことがあるか」という質問にも同じ趣旨で答弁を拒絶した。ただし、「兵力出動に関連し、戒厳司令官の命令を受けたか」という質問には「(金竜顕前)長官の指示を受けた」と答えた。

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