青森県八戸市のみちのく記念病院で、入院中だった高橋生悦さん=当時(73)=が同室の男(59)に殺害された事件を巡り、犯人隠避容疑で逮捕された元院長石山隆(61)、弟で主治医だった哲(60)両容疑者が事件後、男を閉鎖病棟に医療保護入院させていたことが16日、県警への取材で分かった。 県警は、男の逮捕を妨害する狙いがあったとみて調べている。 両容疑者は2023年3月、高橋さんが男に殺害されたと知りながら、死因を「肺炎」とする虚偽の死亡診断書を遺族に交付するなどして隠蔽(いんぺい)した疑いで逮捕された。 医療保護入院は、医療や保護を理由に精神障害者の入院が必要なとき、厚生労働相が指定する「精神保健指定医」の診察と家族の同意があれば、強制入院させられる制度。哲容疑者は精神保健指定医だった。 県警などによると、男はアルコール依存症などの治療のため入院していたが、事件後に閉鎖病棟へ移された。精神保健福祉法では、所在不明などの理由で家族の同意が得られなくても、市町村長の同意があれば医療保護入院させることができる。 事件は23年3月12日深夜に発生。高橋さんは男に歯ブラシで顔を刺されるなどして死亡したが、病院側は遺族に「転んだ」などと説明し、警察に届け出ていなかった。男はその後、殺人容疑で逮捕され、昨年7月に懲役17年が確定した。