ハナ信用組合(本店・東京)横浜支店で顧客が契約していた貸金庫から現金約6億2千万円を盗んだとして、神奈川県警は4日、同支店元次長の無職李勝炫容疑者(49)=東京都調布市=を窃盗容疑で逮捕し、発表した。容疑を認め、「ギャンブルに使った」と話しているという。県警は競馬や競艇などに充てたとみて調べている。 逮捕容疑は、横浜支店(横浜市中区)次長だった2021年9月ごろ~23年3月ごろ、同支店の貸金庫から100回以上、複数の顧客が預けた現金計約6億1900万円を持ち出して盗んだというもの。 県警によると、李容疑者は同支店勤務になった16年ごろから窃盗を繰り返していたとみられ、営業時間のほか、深夜や休日にも貸金庫室に出入りし、被害額は10億円超になるという。 李容疑者は貸金庫などの鍵を複製し、十数本のスペアキーを所持。17年に支店の店舗が移転した際などに複製したとみられ、窃盗するにあたって貸金庫の重量感などであたりをつけていたという趣旨の話をしているという。 同信組によると、同支店で鍵の使用データを印字した紙が一定期間分なくなっていたため内部調査。昨年2月に被害を発表し、李容疑者を懲戒解雇。昨年9月に業務上横領容疑で県警に告訴していた。 同信組は経営破綻(はたん)した朝銀東京信用組合などから事業譲渡され、02年に設立された。 金融機関の貸金庫を巡っては、三菱UFJ銀行の元行員の女が1月、金塊の窃盗容疑で警視庁に逮捕された。みずほ銀行も2月、元行員の女性が現金を盗んだと公表している。(手代木慶、稲葉有紗)