アメリカのドナルド・トランプ大統領は4日、「違法な」抗議活動を許可している米大学への資金援助を停止し、抗議に参加した留学生を起訴して強制送還すると述べた。 トランプ氏はこの日、学生による「違法な」抗議行動を許可した教育機関への「連邦政府の資金援助をすべて停止する」と、自分のソーシャルメディア(SNS)サイト「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。 アメリカ各地の大学キャンパスでは昨年、学生らが敷地を占拠し、パレスチナ・ガザでの戦争に抗議する動きが相次いだ。 ニューヨークのコロンビア大学や、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などで、イスラエルのガザ攻撃に反対する学生の大規模抗議デモが起き、逮捕者が出るなどした。 それから1年もたたないうちに、トランプ氏は抗議者らへの対応を発表した。 アメリカ人の学生については、退学処分になるだろうとした。 トランプ氏は、何をもって「違法な」抗議活動とするのかは、具体的に述べていない。大まかに言えば、抗議する権利は合衆国憲法修正第1条で保障されている。 「個人の権利と表現のための財団」(FIRE)は、トランプ氏の発表を即座に非難した。 「カレッジには違法行為に対処できる資格があるし、対処すべきだが、大統領には『違法な』抗議活動を許可している大学に対してであっても、連邦政府からの資金を一方的に取り消す権限はない」と、FIREは声明で述べた。 さらに、今回の動きは「イスラエル・パレスチナ紛争に関する学生の抗議行動に水を差すもので、容認できるものではない」と付け加えた。 トランプ氏の発表とは異なる声明の中で、米教育省、一般調達局(GSA)、保健福祉省は、コロンビア大学と連邦政府の契約について、「包括的な見直し」を行うと発表した。抗議活動をめぐっては、連邦政府から資金援助を受ける事業において人種や出身国などを理由とする差別を行うことを禁止する1964年公民権法の第六編を順守しているか、調査が進められている。 教育省は声明で、コロンビア大学との5140万ドル規模の契約の停止を検討しており、同大への50億ドル超の助成金を見直すつもりだと説明した。 「エリート大学のキャンパスで、ユダヤ人学生が暴行や嫌がらせを受け、反ユダヤ主義的な学生や扇動者たちにキャンパスが繰り返し占拠されるのを、1年以上もの間、アメリカ人は見て恐怖を感じてきた」と、トランプ氏に任命されたリンダ・マクマホン教育長官は声明で述べた。 マクマホン氏は、「違法な野営やデモは、日々のキャンパス運営を完全にまひさせ、ユダヤ人学生から、彼らが享受すべき学習機会を奪っている」と付け加えた。 トランプ氏は1月、抗議活動に参加した留学生の排除を命じる大統領令に署名した。 この大統領令は、教育機関が「外国人の学生やスタッフによる活動を監視・報告」し、正当な理由があれば彼らを排除できるよう勧告するよう、政府機関に指示するものでもある。 ホワイトハウスのファクトシートには、この大統領令は「法と秩序を守り、親ハマスの破壊行為や脅迫を鎮め、左翼的で反米的なカレッジと大学における反ユダヤ主義を調査・処罰する」ことを目的としていると明記されている。 ガザ戦争に反対する学生の抗議活動が全米の注目を集めた昨年4月、コロンビア大学では、キャンパス内に設置された野営地で複数の学生が逮捕された。 同大は、ニューヨーク市警の警官が大勢キャンパスに入るのを許可した。この決定が物議を醸し、大学の建物を占拠していた約100人の学生が逮捕された。 その4カ月後、同大のネマト・シャフィク学長は辞任した。 連邦政府のタスクフォースは今週初め、反ユダヤ主義的な出来事の舞台となった、アメリカの有名大学10校を訪問すると発表した。 (英語記事 Trump vows to deport students over 'illegal protests')