2歳の長男に暴行を加えて死亡させたとして、父親の田中遥容疑者(23)=広島市東区=が傷害致死容疑で逮捕された事件で、広島市児童相談所の松島智子・初期対応担当課長は5日会見し、「児相が関わった子どもの死亡を重く受け止め、残念に思っている」と述べた。昨年1~5月、自宅訪問や電話などで支援してきたが、父親には接触していなかったという。 県警によると、田中容疑者は昨年10月、自宅で伊桜吏(いおり)ちゃん(2)の腹部を圧迫するなどして死亡させた疑いがある。県警は捜査に支障があるとして、認否を明らかにしていない。 児相によると昨年1月、養育支援が必要な世帯がある、との連絡を受けて支援を始めた。ただ、通報者や内容は「特定される可能性がある」として答えなかった。 児相は母親に育児のアドバイスなどを始めたが、伊桜吏ちゃんの体にあざなどは確認できなかったという。 母親への支援にとどめ、田中容疑者と接触しなかった理由について、松島課長は「母親が主に育児をしていた。父親に必ずしも話を聞いているわけではない」などと説明した。 児相は、養育状況が改善されたとして5月に支援を打ち切り、東区役所に引き継いだ。松島課長は、自宅訪問などの回数について「世帯の状況を言わずに明らかにすると、誤解が生じる可能性がある」として答えず、会見に参加した東区の担当者もプライバシー保護を理由に、支援回数や時期を明かさなかった。 松島課長は「状況改善している中での事件。暴力やその兆候は確認できず、必要な支援は行ってきたと考えている」としている。(遠藤花)