福井市で39年前、中学3年の女子生徒(当時15歳)が殺害された事件で、殺人罪で服役した前川彰司さん(59)のやり直しの裁判(再審)が6日、名古屋高裁金沢支部(増田啓祐裁判長)で始まった。検察側は「被告が犯人であることは明らか。確定審同様の判決を求める」と主張した。判決は7月にも予定されている。 前川さんは1審・福井地裁(1990年)で無罪となったが、2審・名古屋高裁金沢支部(95年)で懲役7年の逆転有罪となり、最高裁で確定。2回目の再審請求となった2024年10月に再審開始が決まり、前川さんを有罪とした2審がやり直された。 確定審では「血が付いている前川さんを見た」などとする知人らの証言を根拠に有罪とされた。これに対し、再審を認めた高裁金沢支部決定は証言について「捜査機関による誘導など不当な働きかけがあった疑いがある」と信用性を否定した。 この事件は86年3月に発生。前川さんは約1年後に殺人容疑で逮捕されたが、一貫して無実を主張していた。【木島諒子、萱原健一】