1985年に起きた冤罪事件、いわゆる「松橋事件」を巡り、再審で無罪になった宮田浩喜(みやた こうき)さんの遺族が国と熊本県に損害賠償を求めていた裁判で、熊本地方裁判所は遺族側の請求を一部認めて、国に約2380万円の賠償を命じました。一方で熊本県への請求は棄却しました。 宮田浩喜(みやた こうき)さんは、1985年に当時の熊本県松橋町(現:宇城市松橋町)で起きた殺人事件の容疑者として逮捕・起訴され、裁判で懲役13年の刑が確定し服役しましたが、2019年に再審で無罪となりました。 今回の裁判は、冤罪の原因を明らかにするため国と県に約8500万円の損害賠償を求めているもので、宮田さんが87歳で亡くなった後は遺族が裁判を引き継いでいます。 裁判で宮田さんの遺族側は、警察による長時間の違法な取り調べなどで自白を強要させる違法な捜査があったことや、検察が刑事裁判で宮田さんに有利な証拠を提出せずに隠したと指摘。一方で国や県は、捜査や証拠の扱いに違法性はないとして、訴えの棄却を求めていました。 きょう(3月14日)の判決で熊本地裁の品川英基裁判長は、「検察官は職務上の注意義務を尽くさなかった」として、遺族側の請求を一部認め、国に賠償金約2380万円の支払いを命じました。一方で熊本県への請求は棄却しました。