八戸市のみちのく記念病院で、元院長らの逮捕から14日で1カ月、これまでに明らかになった不適切な医療の実態とは。 【宮下知事】 「青森県からは構造設備の一部について、医療法に規定する許可を受けることなく、変更・使用しているという事実について改善勧告をしています」 県と市は、2度の立ち入り検査をふまえ、7日、病院に対し改善勧告を行いました。市には、元院長らの逮捕以降、12日までに通院継続への不安といった病院に関する相談が20件弱寄せられています。 精神医療現場の正常化を目的とする「市民の人権擁護の会日本支部」は、13日、県と市に対し違法な身体拘束の調査などを求める要望書を提出しました。 【市民の人権擁護の会日本支部 小倉謙支部長】 「不正をどれだけ未然に防げるか、不正があったとしたらそれをちゃんと抑えることができるかという姿勢は求めていかなくてはいけない、最低限いただかなくてはいけないと思っています」 病院を巡ってはいまだ不可解な点が多く残されています。 事件の流れはこうです。午後11時半すぎ、入院していた男が、同じ部屋の男性患者の顔面を歯ブラシで何度も刺したことを看護師に打ち明けます。 しかし、遺族には「肺炎」の死亡診断書が渡され、事件が明るみになったのは病院の内部関係者から通報があった翌日の午後6時を過ぎてからでした。 「肺炎」の死亡診断書。捜査関係者によりますと、同じ医師の名前が書かれた200枚以上の死亡診断書のうち、死因のおよそ7割が「肺炎」。この医師は認知症の疑いで入院中で、日によっては文字を書くことができない日もあったということです。 【市民の人権擁護の会日本支部 小倉謙支部長】 「病院の持っている本当の意味での倫理観のレベルがあまりにも低すぎるんだと」 さらに、この医師の前にも正常な診断ができない可能性がある高齢の医師を、患者を診ず死亡診断書を作成する「みとり医」として、夜間や休日に活動させていたことが捜査関係者への取材で分かりました。 こうした医師が雇用関係にあったものの、正当な対価を得ていたかなど運営状況にも不審な点があるといいます。事件と病院運営の実態解明、そして二度と繰り返さない体制づくりが求められています。