【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)欧州議会は14日、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)による議員に対する贈賄疑惑が浮上したのを受け、同社ロビイストの出入り差し止めを決めた。議会報道官が明らかにした。欧州委員会も同様の措置をとるとしている。 ファーウェイを巡っては、ロビー活動を装って議員に賄賂を供与した疑いがあるとして13日、ベルギー検察が数人を身柄拘束。欧州議会など21カ所を家宅捜索した。地元紙は拘束者のうちの1人は、議員助手を務めた経験のある同社ロビイストだと伝えた。 検察発表によると、同社は政治決定で利益誘導を狙って2021年以降、議員への謝礼金支払いや、旅行や食事、サッカー試合への招待を繰り返した疑いが持たれている。マネーロンダリング(資金洗浄)や文書偽造の容疑でも捜査が行われている。 EUでは近年、第5世代(5G)移動通信システム導入にあたり、ファーウェイ製品の扱いが問題になっていた。加盟国では20年以降、安全保障上の懸念から排除の動きが進み、23年には欧州委が「他社より高リスク」だとして同社製品を通信網から外すよう促した。ファーウェイは、欧州議会にロビイストとして9人を登録している。 欧州議会報道官は14日、産経新聞の取材に「ファーウェイ関係者の議会への出入り差し止めは、(捜査を受けた)警戒措置だ」と説明した。 欧州議会では、外国組織が絡む汚職疑惑が過去にも起きている。22~23年にはカタールでのサッカー・ワールドカップ(W杯)開催をめぐる贈賄事件で、複数の議員が逮捕された。