【小学女児性的暴行】「二度と社会に戻ってこないで」被害者両親を慟哭させた被告に下された〝審判〟

「事件以降、娘は外に出ることを怖がり、以前のような明るさを取り戻せていません。夜中にふと目を覚まし、泣いていることがあります。習い事もやめ、大好きだった女の子らしい服は着なくなり、髪を短く切ってしまいました」 被害者Aさんの母親は嗚咽しながら、証言台でこう話した。 小学生のAさんに、「自転車でぶつかったのに謝らない」と因縁をつけ、車庫に連れ込んで性的暴行に及んだとして、邸宅侵入や不同意性交等致傷の罪に問われている高橋信吾被告(69)の裁判員裁判が、’25年3月4日から東京地裁で開かれた。 【前編】「幼女には興味がない」弁護士も困惑させた69歳被告の身勝手すぎる〝言い訳〟 2回目となった3月7日は論告弁論に先立ち、Aさんの両親が意見陳述を行った。最初にAさんの父親が事件発生直後に受けたショックの大きさについて述べた。 「自分の娘が不同意性交等致傷の被害者になってしまったということが、とうてい受け入れられず、何らかの誤りであってほしいと願うばかりでした。 精密検査で担当医から、陰部に圧迫痕があるとの説明を受けた時、最もしてほしくなかったことが行われたことを確信し、その場で根が張ったように動けなくなるほどの強い衝撃を受けました。そして、被告人が娘を傷つけたことを否定していることに強い憤りを感じています」 さらに、高橋被告が自首しなかったことやその犯歴に触れて、 「今回、刑事さんの懸命な捜査のおかげで、無数の防犯カメラなどの物的証拠が決め手となって逮捕・起訴に至っております。これらの物的証拠がなかったら、被告人が同じ町で平然と生活していたことは想像に難くありません。スマートフォンから娘の写真を削除したことからも、逮捕を逃れる強い意志が感じられます。 過去に被害に遭われた方はさぞ苦しかっただろうし、いまでも苦しまれていると思います。娘が、発覚しているだけでも7人目の被害者になってしまったことに、やり場のない憤りを感じます」 と、被告への強い怒りを述べ、最後にこう訴えて、意見陳述を終えた。 「想像していただければ幸いです。ご自身やご自身の大切なご家族、またご友人のすぐ近くに被告人がもし引っ越してきたとしたら、大きな不安を感じ、いままでのように外出もままならなくなるのではないでしょうか。 可能な限り、長期にわたる懲役刑を科していただき、反省の様子が感じられない被告人が、再び、どの町をも徘徊することのないようにしていただきたいと、一市民として願うばかりです」 ◆「加害者に更生は望んでいません」 続いて、Aさんの母親が意見陳述を行った。 「あの日、娘はただ習い事に向かう途中でした。普通の生活のなかで、決して起こるべきではない出来事が起こり、私たちの生活は一変しました」 と話すと、すすり泣き、涙ながらに話を続けた。 「以前は、友達と外で遊び、好きな習い事に打ち込んでいた娘が、いまでは外出すら怖がり、自分の存在を隠すような目立たない服装を選び、笑顔を見せることも少なくなりました。 人を信じ、周囲に溶け込むことができた娘が、いまでは他人を恐れ、高齢の男性を見るだけで体が硬直するようになってしまいました。このような状態に陥らせた犯人の行為は、とうてい許されるものではありません」 そして、「娘が少しでも心の傷を癒やすためには、社会全体がこのような事件を許さないという強い姿勢を示し、加害者に厳正な裁きを与えることが必要不可欠」だとして、最後にこう訴えた。 「私たちは娘に起こったことを、一生背負って生きていくしかありませんが、同時に、同じような思いをする子どもや家族が出てほしくないと強く願っています。 加害者に更生はもう望んでいません。 社会に戻らず、二度と人の人生を踏みにじらないでいただきたいと思っております。最後に私たちが願うのは、娘が再び笑顔を取り戻し、安心して外に出られる日が訪れることです。そのためにも、社会の正義が果たされ、加害者がしっかりと罪を償うことを望みます」 ついたてで隠され、傍聴席からはその姿は見えないものの、嗚咽し、声を詰まらせながら話すAさんの母親に、検察官のひとりはハンカチでしきりに目元をぬぐっていた。 ◆被告が最後に口にした〝反省なき〟言葉 意見陳述の後、論告弁論が行われた。 検察官は「住宅街で被害者に声をかけ、他人の家の車庫に連れ込むなど、本件が大胆で手慣れていて、卑劣な極めて悪質な犯行」であると指摘。「被告人には同類の前科が2犯、累犯前科も2犯あり、年少者に対する性犯罪への常習性が認められ、不合理な弁解に終始するなど、真摯な反省がない」と「懲役15年」を求刑した。 一方、弁護人は、「本件で、被告人に致傷結果の責任を負わせることはできません。邸宅侵入および不同意性交等、両罪の範囲内で寛大な処分を求めます」と述べた。 そして3月10日、島戸純裁判長は高橋被告に対して「懲役15年」の判決を言い渡した。 被告人質問のなかで、弁護人に「今回、実刑になったとして、その出所後はもう二度とこういう犯罪を繰り返さないと約束はできますか?」との質問に、高橋被告は、こう答えている。 「もう69歳です。これからどれだけ生きられるかはわかりません。糖尿病もあるし、他にも悪いところが出てくるかもしれない。獄死するのが望ましいと自分では思っていますが、もし出所することがあったら、年齢的にも体力的にも(犯罪行為は)できないと思うので、努めて生活します」 「Aさんが謝らなかったから、懲らしめるためにAさんが嫌がること、性的な行為をした」と、あくまでわいせつ目的ではないと主張し続け、「絶対にケガをさせてない。痛がるようなことはしない」と最後まで「致傷」について認めなかった高橋被告。さらには「そういうこと(性犯罪)をしなくなるように、毎日、砂糖を飲んで糖尿病に至って、男性機能を失い、そのことで性欲を抑えるような生活をしていました」とまで述べていた。 過去に服役した刑務所内では性犯罪再犯防止プログラムを受講したというが、結局、体力がなくなることでしか犯罪行為を止めることはできないのだろうか。被害者が笑顔を取り戻す日がくることを願ってやまない。

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