埼玉県の大野元裕知事が感謝状を手渡したクルド人の男が傷害容疑で逮捕された事件が19日、県議会で取り上げられ、大野氏は不法滞在状態の外国人に感謝状を贈呈したことの是非について「会社の代表者はクルド人ではなく日本人で、適切だった」などと答弁した。ところが、実際の代表者は日本人ではなく別の外国人で、産経新聞の指摘を受けた県は答弁の訂正を決めた。 諸井真英氏(無所属)の質問に答えた。 男は同県川口市に長期滞在するトルコ出身のクルド人で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免の不法滞在状態。男が実質経営する解体工事会社が、県の「シラコバト長寿社会福祉基金」へ100万円を寄付したとして昨年1月、大野氏が知事室で男に感謝状を直接手渡していた。 この日の議会で、諸井氏は「当時、担当部署に『不法滞在者に感謝状など出すべきではない』と事前に強く進言したが、まったく聞き入れなかった」と指摘し、知事の見解をただした。 大野氏は「寄付を受けたのはクルド人個人からではなく会社から。その会社の登記を確認したところ、代表者はクルド人ではなく日本人の方だ。こういった会社から寄付されたものに対し、要綱に従い感謝状を出したことは適切だと考えている」と述べた。 ところが、法人登記などによると同社の代表取締役は別の外国人で、産経新聞の指摘を受けた県は、知事の答弁のうち「日本人」と「登記」の部分について訂正の手続きを取ることを決めた。 この会社は今回逮捕された男が実質的に経営しており、会社の名称も男の名前から取られている。 基金を所管する県福祉政策課は「知事としては、感謝状の贈呈先について不法滞在のクルド人が経営する会社ではない、ということを強調したかったようだ」と話している。