ジャンポケ斉藤氏、不同意性交・不同意わいせつ罪で起訴 「在宅起訴」の意味は?

お笑いトリオ「ジャングルポケット」のメンバーだった斉藤慎二氏(42歳)が、20代女性にロケバスの車内で性的な暴行を加えた不同意性交罪などの疑いが持たれていた事件で、東京地検は今日26日、同氏を不同意性交罪と不同意わいせつ罪で在宅起訴したという報道(TBS NEWS DIG、3月26日など)がありました。 斉藤氏は逮捕・勾留されず在宅起訴となっています。この点について、在宅起訴とは何か?という疑問を持たれた方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に解説してみました。 ●在宅起訴とは? 「在宅起訴」とは、逮捕・勾留という身柄拘束を受けないまま、検察官に起訴されることをいいます。 刑事事件になっているからといっても、逮捕・勾留をしなければ起訴できないわけではありません。被疑者を逮捕しなくても、必要な捜査を進めて有罪の立証に足りると検察官が判断できるだけの証拠を集めることができれば、当然ながら起訴することができます。 むしろ、本来は「逮捕」「勾留」の要件がない限りは身柄拘束をされることはないはずです。そういう意味で、「在宅起訴」という言葉に何か特別な意味があるというわけではありません。 ●斉藤氏はなぜ逮捕されなかったのか 「逮捕(通常逮捕、刑事訴訟法199条1項)」の要件は、「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」があり、かつ、「逮捕の必要性」が認められる場合、です。 「逮捕の必要性」とは、逃亡や罪証隠滅のおそれがある場合に認められます。 不同意性交罪(刑法177条1項)は、5年以上の有期懲役(2025年6月1日からは拘禁刑)と、かなり重い罪ですから、逮捕・勾留されることが多いと思います。 また、被疑者が否認している場合には、実務上は逃亡や罪証隠滅のおそれがあると判断されやすく、逮捕・勾留に傾きやすい傾向があります。逮捕・勾留する、というのは被疑者の黙秘権保障等の観点からは大いに問題だと思いますが、実務ではそのように処理されることが多いというのが実情です。 本件では、斉藤氏は逮捕・勾留はされていません。斉藤氏が容疑を認めているのか、否認しているのかは、現時点では定かではないのですが、これは有名人だからえこひいきしているということではなく、単純に逮捕・勾留する必要性がないと判断されたからだと思われます。 まず「逃亡」のおそれについて、斉藤氏は全国的に顔を知られている有名人であり、自宅もあるようですから、逃亡のおそれはないと判断されたのではないでしょうか。 次に、罪証隠滅についても、事件の客観的証拠(映像など)は既に捜査機関が押さえていると思われます。 また、客観的証拠だけでなく、「人証」、たとえば証人や被害者を威迫・誘惑することも罪証隠滅にあたりますが、斉藤氏が被害者の連絡先などを知らなければ、これも難しいという判断なのではないかと思います。 ●「人質司法」をやめるという観点 「人質司法」という言葉があります。日本では、とにかく被疑者を逮捕・勾留し、長期間身柄拘束することで、罪を認めさせることが行われてきたと言われています。そしてこのことが、えん罪を生み出す原因になっているとも言われます。 今回のケースのように、不必要な身柄拘束を行わずに在宅起訴することは、人質司法をやめる観点からはプラスに評価されるのではないかと思います。

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