逮捕された容疑者の男性が大阪府警に当番弁護士を呼ぶよう求めたのに、連絡したのは取り調べの後だった――。こんな不適切な対応があったとして、大阪弁護士会(大砂裕幸会長)は26日、岩下剛・府警本部長に人権侵害の勧告をしたと発表した。 24日付の勧告書によると、男性は2023年1月11日に逮捕され、午後1時半ごろに始まった弁解録取の際、柏原署員に当番弁護士の派遣を求めた。だが依頼は放置されたまま取り調べは進み、担当者が大阪弁護士会に伝えたのは、布施署の留置場に移った後の午後4時20分ごろだった。 男性が担当者に要請をしたか尋ねると、「呼んでなかった。今呼んだから」と言われたという。 弁護士会は「当番弁護士制度は、被疑者が弁護人の援助を受ける憲法上の権利にもとづく重要な制度」だとし、「弁護を受ける出発点となる接見が危ぶまれた」と批判。今後は要請があり次第、直ちに伝えるよう求めた。(大滝哲彰)