ロサンゼルス中心部に夜間外出禁止令 抗議活動5日目…デモ活動の一部が暴徒化、略奪行為も トランプ大統領は“反乱法”発動を示唆

アメリカ・ロサンゼルスで相次ぐ発射音。 この発射音は当局部隊によって、移民の取り締まりへの抗議活動を続けるデモ隊に対して行われたものです。 抗議デモが起きているのは、ロサンゼルスの中心部にあるダウンタウン地区の一部。 近くには日本人観光客にもなじみ深いドジャースタジアムやリトルトーキョーがある場所です。 対立のきっかけは、政府機関が6月6日に行った、滞在資格のない移民の摘発でした。 これに抗議するデモに対し、トランプ大統領は州兵2000人の派遣を決定します。 すると、デモの規模が拡大したうえ、一部では混乱に乗じた略奪行為が相次ぐ事態となったのです。 10日、ロサンゼルスにあるアディダスのショップでは突き破られたドアがそのまま店内に残され、まだ片付けられていませんでした。 こうした状況に対し、ロサンゼルス市は、リトルトーキョーを含むダウンタウン地区の一部に夜間外出禁止令を発令しました。 リトルトーキョーで「和食店 こう楽」を営む徳田護オーナーは、外出禁止令について「単純に困りますし、これがいつまで続くかっていうのが、先が見えないっていうのが一番不安です。(市からは)今のところは何の保証もないです。日本から来る旅行者の方もホテルをキャンセルとか、ドジャースも近いので大谷翔平選手の試合を見たい方も多いと思うが、この辺に来るのを控えるっていう声が多い」と話します。 収束しない抗議デモに対し、トランプ政権は州兵を4000人に増やしました。 そして、海兵隊約700人の派兵も決定。 さらにトランプ大統領は、通常時は禁止されている、海兵隊による逮捕や捜査が可能となる反乱法の発動を示唆したのです。 記者: カリフォルニアの状況に対処するため、反乱法を発動しますか? トランプ大統領: 反乱が発生すれば当然発動する。様子を見よう。 また抗議デモについて、「外国の旗を掲げた暴徒による国家主権への攻撃だ」などと非難しています。 海兵隊が派遣されるなど、異例の事態となっているロサンゼルス。 現地からFNNロサンゼルス支局・水本翔記者が最新情報をお伝えします。 州兵が配備されている連邦政府ビルの前にいますが、ここも夜間の外出禁止命令が出されているエリアで、メディアや住人などを除いて入れなくなっています。 ここはデモ隊が集まって散発的な衝突が起きている場所ですが、今、現地は午前1時ですが誰も人は集まっておらず、州兵も少ない人数で警備に当たっています。 きょうは比較的冷静に抗議活動が行われていたんですが、それでも当局がデモ隊を散らすために催涙弾などを撃ち、そこからにらみ合いはヒートアップしました。 現状、ロサンゼルスでは過激なデモはこの周辺で起きていて、この辺りに観光客などが近寄らないように、ロサンゼルスの日本国総領事館が呼びかけています。 ――抗議デモにはどういった人たちが参加している? ロサンゼルスは非常に移民が多い国で、参加している方の中にも、自分自身はアメリカで生まれてアメリカ国籍があるが、祖父や祖母がメキシコから不法状態で入国しているため、家族がバラバラにされることを恐れて抗議していると話す方がいました。 そして、自分たちだけではなく「同じような境遇にある全ての移民のために抗議をしている」と話している方もいて、家族や友達を守りたいといった意識を持たれているのだと思います。 一方で略奪行為なども起きていて、デモに乗じて自分の利益のために過激な行動をとっている人も交ざっています。 ――現地に多くの日本人の方が暮らしていると思いますが、その影響は感じる? 日系人街のリトルトーキョーがここから1ブロック離れたところにありますが、やはりここに集まっているデモ隊が時折歩きに行ったり、その中に交ざっている一部の人間が落書きなどを行っていて、それらを恐れてお客さんも3分の1から5分の1ぐらいまで減っていて、とても影響が出ています。 ――海兵隊が現地に派遣ということですが、混乱が収束する見通しはある? 残念ながら収束の見通しは立っていません。 ニューサム知事は、裁判所にトランプ政権が送った州兵、海兵隊の活動停止の仮処分を求めて提訴していて、裁判の行方によっても情勢が変わるかもしれません。 ただ、この暴動で当局がデモ参加者を過剰に攻撃して万が一殺害した場合、大きな暴動へと発展する引き金になる可能性があり、街で暮らす人も「早く収束してほしい」と話していました。 ――現地は深夜1時ですが、周りは本当に静かだなという印象? とても静かですが、横がハイウエーになっていて、時折サイレンを鳴らした当局の車が走っている音が聞こえます。

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