尹錫悦前大統領は、これからは自然人の身で、内乱首謀容疑で刑事裁判を受けることになる。また不訴追特権を失ったことで、彼にかけられている各種の犯罪容疑についての捜査も本格化するとみられる。 今月14日には尹前大統領の刑事裁判の初公判が行われる。裁判所は、彼が職務に復帰して現職大統領の資格で出廷するという「最悪のシナリオ」にも備えていたが、憲法裁判所が罷免を決めたことで、裁判所は負担が軽くなった。尹前大統領は、高位公職者犯罪捜査処による内乱捜査は違法だとして、手続き上の問題点を集中的に攻略するものとみられる。不拘束の被告人となった尹大統領が「裁判遅延戦略」を用いることが懸念されているが、裁判所は迅速に審理を進める計画を立てているという。 「不訴追特権」という盾を失った尹前大統領には、明らかにされるべき同時多発的な容疑が少なくない。まず警察非常戒厳特別捜査団は、尹前大統領の逮捕状の執行妨害容疑の捜査に本格的に着手するとみられる。警察特捜団は逮捕状の執行妨害を指示したのは尹大統領だとして、尹大統領をすでに特殊公務執行妨害の容疑者として立件している。12・3非常戒厳の直後の尹大統領と軍の司令官との通話の内訳を含む、盗聴防止機能付き電話のサーバの情報の削除を指示した容疑も捜査対象だ。大統領警護処はこのかん、「軍事上、公務上の秘密を要する場所」だとして警察による強制捜索令状の執行を拒否していたが、尹大統領の罷免後に盗聴防止機能付き電話のサーバが押収されることによって、捜査が急速に進む可能性がある。 検察によって捜査が進められているミョン・テギュン事件の頂点にも尹前大統領がいる。尹前大統領は、大統領候補時代にミョン氏から非公表の世論調査の提供を無償で受けた疑い(政治資金法違反)も持たれている。2022年6月の国会議員再補欠選挙でのキム・ヨンソン前議員の公認への介入容疑も捜査対象だ。尹前大統領が自身の大統領就任式前日の2022年5月9日に、ミョン氏に「(公認管理委員会に)キム・ヨンソンを公認してやれと言った」と述べている肉声が早くから明らかになっている。 検察が2020年4月の総選挙を前に当時の与党政治家を告発しろとの告発状を未来統合党(現国民の力)に渡した「告発教唆」事件を主導したのが尹前大統領だったのかも、高位公職者犯罪捜査処によって捜査が行われている。公捜処はソン・ジュンソン検事長(当時は最高検察庁捜査情報政策官)だけを先に起訴しているが、ソウル高裁は昨年12月、「ソン検事長に告発状の作成を指示した(尹錫悦)検察総長ら上級者が未来統合党を通じた告発を企画」した可能性があるとして、事件の首謀者として尹前大統領に目をつけている。これを受け、この事件を最初に通報したチョ・ソンウン氏が、尹前大統領や国民の力のハン・ドンフン前代表(当時は最高検察庁反腐敗部長)らを公捜処に追加告発している。尹前大統領の激怒からはじまったといわれるC上等兵事件の捜査外圧疑惑の捜査も、再開される可能性が高い。 チョン・ヘミン、ペ・ジヒョン、キム・ジウン記者 (お問い合わせ [email protected] )