東レ水処理装置の架空取引 5千万円詐取容疑 元社員ら3人逮捕 沼津署など

東レ製の水処理装置の架空取引で現金5千万円をだまし取ったなどとして、沼津署と静岡県警捜査2課は2日までに、偽造有印私文書行使と詐欺の疑いで、元東レ社員(60)=大阪市平野区喜連2丁目=ら男3人を逮捕した。水処理装置の架空の製造番号を示し、転売利益などが被害者に入るとうたう手口で、県警は同様の行為を繰り返した可能性があるとみて実態解明を進める。 元東レ社員とともに逮捕されたのは、東京都江東区永代2丁目、無職の男(73)、鹿児島県谷山市生まれ、住所不定、自称機器販売業の男(58)の2容疑者。3容疑者は共謀して2018年9月下旬ごろ、東レ製水処理装置の架空取引で、清水町の業者から現金をだまし取ろうと考え、購入契約の際に、同装置が3カ月後に必ず売却可能であり、売却できない場合は買い戻すことを東レが保証する旨の虚偽の文書などを提示し、現金5千万円をだまし取った疑い。 県警によると、無職の男が当時代表を務めていた水処理装置の製造・販売・補修会社が1台当たり50万円で100台を被害業者に販売し、その後、自称機器販売業の男が代表の水処理販売会社が購入するとうたっていたという。自称機器販売業の男は、1台当たり7万5千円の利益などを上乗せして買い取ると約束し、3カ月後までに売れなかった場合、無職の男が買い戻すとかたって信じ込ませていた。一連の契約を、元東レ社員が会社の肩書を使って保証するとだまし、委任状も偽造作成していたとみられる。 水処理装置は、災害時に河川の水をくみ上げたり吸い上げたりしてろ過する装置の簡易版とされる。元東レ社員は当時、東レの営業専任主幹で、事態を把握した東レから18年秋に懲戒解雇処分を受けた。被害者から22年7月に沼津署に相談があり、県警が捜査を続けてきた。 県警は元東レ社員がその立場などを悪用し、数億円単位を詐取していた可能性があるとみて追及するとともに、3容疑者の具体的な手口や動機を解明していく。 ■元社員の働きぶり「問題なし」 東レがコメント 元社員の逮捕を受け、東レは2日、取材に応じ、架空取引などを行っていたとされる2018年当時、元社員の男は水処理システム装置の海外向け販売を担当していたと明かした。発覚前の働きぶりに「特に問題がなかった」と説明した。 同社によると、男を含めた複数の関係者を処分し、社内調査をした上で、19年2月に警視庁に被害を相談したという。関係者の処分が済み、同社HPで公表していることを挙げ「警察にも被害を届け、厳正に対処している」と強調した。

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