ここからは火曜フォーカスです。 4月、山形県米沢市が保管していた大量の水道メーターが盗まれる被害がありました。 なぜ標的にされたのか、県内で相次ぐ銅に絡んだ盗難被害の背景と、必要とされる対策について取材しました。 米沢市郊外にある倉庫です。 「あ、窓が破られてますね」 この倉庫から当時、市が保管していた水道メーターが盗まれました。 その数は2712個にのぼります。 「盗まれたものと同じ水道メーターを借りてきました。大きさのわりにずっしり重い印象です。」 水道メーターの重さはおよそ1.2㎏ほどで、盗まれた個数から換算すると、その総重量は3.2トンほどになります。 盗まれた水道メーターは、各家庭に設置されていたもので、更新の目安である7年が経ち、新しいメーターと取り替えられた後、倉庫に保管されていました。 古く、そして重いこの水道メーター。 一体なぜ盗まれたのでしょうか。 理由はその材質にあるとみられています。 一般的に、サビに強い「銅」を主成分とした合金でつくられる水道メーター。 その銅の価格が高騰しています。 銅製品の製造・販売大手JX金属によりますと、1トンあたりの銅の価格は、2021年から急激に上がり現在も高騰し続けています。 10年ほど前と比較すると、その価格は、2.5倍ほどにはねあがっています。 高騰の要因として、銅を大量に使用する電気自動車の普及や、新興国の都市化で需要が高まっていることなどがあげられます。 米沢市によると今回、盗まれた水道メーターは青銅製で、売却するために倉庫に保管していました。 盗まれた個数から換算される被害額は、時価245万円相当です。 犯罪心理に詳しい専門家は・・・。 【東洋大学 犯罪心理学科 桐生正幸教授】 「まず盗むものが犯人にとって入手しやすいというのが重要なポイントになります。そういう意味では米沢の古いメーターは犯人にとってみればおいしいものだった。」 実際、被害にあった倉庫がある場所は、周囲を田んぼに囲まれ、人通りも少ないところでした。 こうした銅製品の盗難は、県内でも相次いでいます。 同じ米沢市では、太陽光発電施設から銅線ケーブルが4500メートル、時価1900万円相当が盗まれました。 ほかにも遊佐町、鶴岡市で被害が確認されていて、このうち米沢市と遊佐町の事件では、外国籍の男らがそれぞれ逮捕されています。 全国的にも相次いでいる銅の盗難被害。 どうすれば未然に防ぐことができるのでしょうか。 【東洋大学 犯罪心理学科 桐生正幸教授】 「今まででは思いもよらなかったなかったものが狙われ、犯人にとっては非常にいいものになっている。」 「全国でどういったものが盗まれているかということに目を向けてもらい品物が違っても銅製品が盗まれているという情報がわかれば、狙われやすいものがどこにあるのかということを再チェックしたほうがいい。」 こうした防犯の意識について、桐生教授は自治体や企業だけでなく、日常生活の中でも意識を高める必要があると指摘します。 【東洋大学 犯罪心理学科 桐生正幸教授】 「コロナ禍以降、犯罪が幼稚化していた、短絡化してきた傾向にある。これは盗まれないだろうと思っていたものが盗まれたり、強盗事件が起きたりしている。もう一度自分の身の回り、防犯について気を配ることが必要だと思う」 ここまでは火曜フォーカスでした。