北九州市小倉南区のファストフード店で2024年12月、中学3年の男女2人が殺傷された事件で、殺人容疑などで逮捕された平原(ひらばる)政徳容疑者(44)について、福岡地検小倉支部が15日、2度目の鑑定留置を裁判所に請求し、認められたことが関係者への取材で判明した。16日から実施する。 関係者によると、地検小倉支部はこれまでの捜査で刑事責任能力はあるとみており、最終的に起訴する方針。ただ、想定される裁判員裁判では刑事責任能力の有無が争点になる可能性が高く、慎重を期したとみられる。 1度目の鑑定留置の報告書は平原容疑者に当時、精神疾患があったとしたが、責任能力を疑問視するような記述はなかったという。一方、精神疾患が事件発生に与えた影響の有無や程度についても言及がほぼなかった。地検小倉支部は現状では事件当時の精神状態を公判で主張する上で、完全責任能力があったと主張するか、それとも刑が軽減される対象となる限定的な責任能力だったとするかの方針を決められないと判断。別の医師による精神鑑定で補充する必要があると決定した模様だ。 事件は24年12月14日夜、小倉南区徳力(とくりき)1のマクドナルド店舗内で発生。中学3年の男女2人が立て続けに刃物で刺され、腹部を刺された女子生徒(当時15歳)は死亡し、腰を刺された男子生徒も1カ月の重傷を負った。福岡県警は同19日に男子生徒に対する殺人未遂容疑で平原容疑者を逮捕し、25年1月9日に女子生徒への殺人容疑で再逮捕した。 捜査関係者によると、平原容疑者は男子生徒への殺人未遂容疑を当初は認めていたが、その後に「殺すつもりはなかった」と殺意を否認。女子生徒への殺人容疑は「認めない」と供述。地検小倉支部は1度目の鑑定留置を1月16日に開始し、今月14日に終了していた。【井土映美、川畑岳志】