「警察官がたり」がオレオレ詐欺の8割以上 生成AIで再現し啓発

大阪府警が1~3月末までに把握した「オレオレ詐欺」の被害のうち、8割以上が警察官をかたる詐欺だったことが、府警のまとめでわかった。偽の逮捕状などを示して現金をだます手口で、若者も被害に遭っているのが特徴だ。府警はこうした詐欺を生成AIで再現した動画を配信。だまされないよう呼びかけている。 警察官をかたる詐欺の手口は、まず警察官を装う人物から電話やショートメッセージがあり、LINEなどのメッセージアプリに誘導。その後、偽の警察手帳や逮捕状の画像を送ってくるケースが多いという。 ビデオ通話による被害も増加傾向で、銀行口座や携帯電話が犯罪に使われていると不安をあおり、「捜査のため」などと現金を振り込ませるといった流れだ。 府警によると、3月末までのオレオレ詐欺の認知件数は199件で、昨年同期の約5.4倍。そのうち8割以上が警察官をかたる詐欺だったという。 ■被害者の35%は20~30代 特殊詐欺は高齢者の被害が目立つ一方、警察官をかたる手口はスマートフォンに慣れた若い世代の被害も少なくない。今年に入り、20~30代が約35%を占めたという。 全国的にも昨年後半から急増している。警察庁の昨年の統計によると、警察官かたりが多数を占めるオレオレ詐欺の「その他の名目」の認知件数は4192件(前年比311.8%増)。被害額は約371億円(同614.8%増)に上った。 府警は、少しでも被害を食い止めようと、啓発動画を配信している。 動画では、SNSによるビデオ電話で、制服姿の警察官が「詐欺事件の共犯者の逮捕状が出ています」と令状を見せる。さらに「あなたの口座の資産を調査する必要がある。ネットバンキングで送金して」と指示を出してくる。 動画は実際にあった手口を生成AI画像で再現しており、香川大学サイバーセキュリティセンターが制作。府警は、今後生成AIを使った手口が広がる可能性もあるとみて、今回の動画にAIを採り入れたという。 府民安全対策課の担当者は「警察官がSNSでやりとりを求めたりネットバンキングで送金させたりすることは絶対にない。不審な問い合わせがあれば、本当の警察官からの電話なのか最寄りの警察署に確認してほしい」と呼びかけている。(黒田陸離)

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