第36回山本周五郎賞候補にもなった浅倉秋成の同名小説を、阿部寛主演で映画化した『俺ではない炎上』が9月26日(金)に公開されることが決定。特報映像、ティザービジュアルが到着した。 ある日突然、SNSで身に覚えのない事件の犯人に仕立て上げられ逃亡をはかる主人公の山縣泰介を演じるのは、第36回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞の『テルマエ・ロマエ』(12)をはじめ、数々の話題作で主演を務め多くの映画賞を受賞した阿部。さらに現在、主演を務める日曜劇場「キャスター」も放送中。いまなおとどまることを知らない活躍を続ける阿部は作品について「非常にチャレンジングでやりがいのある作品」とコメント。 原作は「ジャンプSQ.」で連載中の漫画「ショーハショーテン」の原作、脚本や第43回吉川英治文学新人賞候補になり映画化もされた「六人の噓つきな大学生」などの浅倉の同名小説。SNSで根拠の乏しい情報が真実となり大きな事件へと発展する、現代の冤罪の恐怖を描いた意欲作だ。「今作を映画にしていただけると聞いたとき、きっと主演の方は主人公と同様、とんでもなく苦しい思いをされるに違いないと予感しました。阿部寛さん、申し訳ありません。本当に本当に、完成が楽しみで仕方がありません」と期待を寄せる。 あわせて解禁となった特報映像では「この男が犯人です」というテロップと共に映しだされる山縣泰介(阿部)の笑顔の切り抜き写真から始まる。ニュースで女子大生殺人事件があったと報じるなか、SNSでは犯人の特定が始まる。「ある日突然、SNS上で犯人に仕立てあげられた男」というナレーションと共に映し出されるのは、事件の犯人を憶測だけで語るSNS投稿群。 その憶測は次第に加速し、山縣泰介のものと思われるアカウントに犯行現場の写真がアップされていたことや、過去の投稿などから「犯人は大帝ハウス営業部長の山縣泰介に決定!」と犯人説がいつのまにか真実かのように独り歩きを始め、ネットで「山縣泰介」が大炎上。私人逮捕に名乗りを上げる配信者や自身が正義と疑わない人々に追いかけられる山縣は「私は無実です!」と必死に訴えるもその声は誰にも届かない。そしてラストの「なんなんだよ…なんなんだよ!」といら立ちをあらわにする山縣の声がエレベーターの中にこだまするのも印象的な特報映像に仕上がっている。 また同時に解禁されたティザービジュアルでは「炎上まとめ速報」というSNS上でよく目にする投稿画面の中に帽子、ランニングウェア姿の山縣の姿が。彼の予期せぬ瞬間を撮影され驚いた表情の写真が配されたインパクトの強いデザインとなっている。 誰もがSNSを利用する現代ならではの恐怖を、時にユーモアを交えながら描く本作。共演者などの続報も要チェックだ! ■<コメント> ●阿部寛(山縣泰介役) 「オファーをいただいたとき、まず『この物語には現代社会の問題が色濃く反映されている』と感じました。SNSでの無責任な拡散、根拠のない炎上、そして家族との絆の再構築――これらが一つのドラマとして融合していて、非常にチャレンジングでやりがいのある作品になると感じました。逃げながら人間性を取り戻していく男の姿は、シリアスであればあるほど滑稽でもあり、演じるうえで細やかな感情の起伏が求められた。人間としての弱さ、強さ、そのどちらも丁寧に表現したいと思いました。この作品を通して、家族や人とのつながりの大切さを改めて感じてもらえたら嬉しいです」 ●山田篤宏(監督) 「本格的なサスペンスミステリーでありながら、どこかユーモアのある原作の世界観の中で、国民的スターである阿部さんの魅力をどうやって丸裸にしようかと考えて撮影に臨みました。SNSという現代的なテーマを扱っていますが、決して敷居の高くない、誰にでも楽しんで頂けるエンターテイメントに仕上がりつつあると思います。ご期待ください!」 ●浅倉秋成(原作) 「現代で起こりうる最悪の悲劇ってなんだろう。考えた結果、私が辿りついたのは、無実の罪を着せられたことによる大炎上でした。まったく心当たりがない。なのに、巧妙に犯罪者に仕立て上げられている。助けを求めても、弁明をしても、誰も手を差し伸べてくれない。どころか、状況はひたすらに悪くなっていくばかり。肉体的にも精神的にも限界まで追い詰められていく主人公を書こうと奮闘したものですから、今作を映画にしていただけると聞いたとき、きっと主演の方は主人公と同様、とんでもなく苦しい思いをされるに違いないと予感しました。阿部寛さん、申し訳ありません。本当に本当に、完成が楽しみで仕方がありません」 ●筒井竜平(プロデューサー) 「ある日突然『殺人犯』として世間に個人情報が晒されてしまった主人公、山縣泰介。身に覚えは全くないが、逃げる他なく――。浅倉秋成さんの書かれた小説『俺ではない炎上』は、現実と地続きで圧倒的にリアルな掴みで始まります。瞬く間に犯人と断定され、身近な人だけでなく、赤の他人からも好き放題に言われる、いわゆる炎上状態に。『俺は悪くない』『誰が俺をハメたんだ?』仕事も家庭も真面目に一生懸命やってきたはずの主人公が『もうどうなってもいい…』というところまで追い込まれていく様は、サスペンスを超えて、もはや滑稽にも見えてきます。しかし、我々はそれを笑っている場合なのでしょうか?明日は我が身!?ノンストップ炎上エンタテインメント開幕!今回、主人公、山縣泰介を阿部寛さんが演じてくださいました。映画化企画立ち上げ当初からの念願が叶った次第です!映画館でご覧いただける日を楽しみにしております」 文/スズキヒロシ