1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で、無罪が確定した袴田巖さん(88)の自宅に10月21日午前、静岡県警の津田隆好本部長が訪れ、袴田さんに対し、謝罪しました。 袴田さんは1966年に起きた4人殺害事件の容疑者として、静岡県警に逮捕され、一度は死刑が確定しましたが、再審では静岡地方裁判所は、長時間にわたる取り調べによる自白や「5点の衣類」と呼ばれる証拠は捜査機関による捏造を認定し、無罪判決が言い渡され、10月9日、検察が控訴する権利を放棄したことで無罪が確定。これを受け、静岡県警の津田本部長は、袴田さんに直接謝罪する意向を示していました。 21日は午前11時に、津田本部長が浜松市内にある袴田さんの自宅を訪れ、袴田さんと姉・ひで子さん(91)の前で、深々と頭を下げ、「逮捕から無罪確定までの58年間の長きにわたり言葉では言い尽くせないほどの心労、負担をかけ申し訳ありませんでした」と謝罪をしました。これに対し、ひで子さんは「58年も前のできごとで、私たちはもう運命だと思っている。いまさら警察に苦情を言うつもりもない」と答えました。 一方、津田本部長は10月12日に事件の被害者遺族とも面会し、真相を解明できず「申し訳ない」と謝罪したことを明らかにしています。