《深圳児童殺害事件の背景》中国版“無敵の人”の無差別犯罪「献忠」続発の深い闇

今年9月18日に中国広東省深圳市で発生した日本人学校児童の刺殺事件から約1ヶ月が経った。中国側は相変わらず、容疑者の動機を明らかにしていない。日本政府は通常よりも強く抗議しているように見えるものの、暖簾に腕押しだ。もとより報道が小さかった中国国内はもちろん、日本国内でも他のニュースの洪水のなかで事件への関心は下がっている。 日本側が事件の大きな要因だとみていた、ショート動画サイトの日本人学校に関するデマ動画は減ったものの、その他の反日動画は現在も野放しで、再発の懸念は充分にある。ごく一部の人しか対象にならない日本人長期拘束と比べても、一般の駐在員やその家族が巻き込まれる可能性がある点で、中国駐在のリスクのひとつとして認識したほうがいい問題だろう。 いっぽう、事件翌日に中国外交部報道官が「類似の事件はいかなる国でも起きる」と発言したことは、日本の世論を逆なでした。中国側には事件の外交争点化を避ける意向があったと思われるのだが、彼らはなかば「本気」でそう考えていた可能性もあるように感じる。 理由は「日本人学校の児童がターゲットになった」という一点を除けば、こうした無差別殺人や通り魔それ自体は、中国では「めずらしくないこと」だからだ。

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