パキスタンの有名ティックトッカー、自宅に侵入した男に射殺される 警察が発表

パキスタンの首都イスラマバードで2日、インフルエンサーのサナ・ユサフさん(17)が、自宅に侵入した人物に射殺された。警察は22歳の男を逮捕した。 ユサフさんを殺害したとして逮捕されたのは、ウマル・ハヤット容疑者。当局によると、ハヤット容疑者は友人になりたいとユサフさんに申し出たが、拒否されていたという。また、ユサフさんに会おうと繰り返し試みたが、うまくいかなかったという。 容疑者はユサフさんの自宅に侵入して2度発砲し、ユサフさんの携帯電話を盗んで逃走していたと、当局は説明した。 ユサフさんの父サイード・ユサフ・ハッサン氏は BBC に対して、一人娘のユサフさんは「とても勇敢」だったと語った。ユサフさんの家族は、遺体が埋葬された北部チトラルに集まった。 父親によると、ユサフさんは生前、ハヤット容疑者のことや、脅迫的な行動などについて一度も口にしなかったという。 容疑者が家に侵入した際、ユサフさんはおばと一緒にいて、容疑者は逃走する前におばも撃つと脅したと、父親は述べた。 ユサフさんは病院に搬送される前に死亡した。 警察は、この「残忍な」殺人事件によって国中に「懸念の波」が広がり、殺人犯発見を求める「とてつもない」重圧がかかっていたとした。 警察は首都とパンジャブ州の各地を捜索し、監視カメラ113台の映像を分析した。 その後、犯行に使用されたとみられる武器と、ユサフさんの携帯を見つけたという。 ■女性のオンライン活動、批判と権利 ユサフさんはパキスタンで幅広く支持され、生前のインスタグラムのフォロワー数は約50万人だった。ユサフさんのソーシャルメディア・ページには、哀悼のメッセージがあふれている。 ティックトックのフォロワーは一夜で数十万人増え、現在は100万人を超えている。 ティックトックに先週投稿された最後の動画には、ユサフさんが風船に囲まれて、誕生日ケーキを切る様子が映っていた。 パキスタンで有名なユサフさんが死亡したとの知らせは、パキスタン・メディアやソーシャルメディア・プラットフォームで瞬く間に広まった。また、ソーシャルメディア上で活動する女性をめぐり、激しい議論が巻き起こった。 ユサフさんの殺害に多くの人が憤る一方で、インフルエンサーとしての彼女の活動に対する批判も上がっている。 オンライン上の反応を監視しているデジタル・ライツ擁護団体「Bolo Bhi」のディレクター、ウサマ・キルジ氏は、このような批判は主に少数の男性ユーザーから上がっていると説明。そうしたユーザーの中には、宗教的な理由を挙げる者もいるという。 「彼らは、なぜユサフさんがこうしたコンテンツを投稿していたのか疑問を投げかけている。家族がユサフさんのインスタグラムとティックトックのアカウントを削除すべきだとさえ、彼らは提案している。こうした投稿が彼女の『罪』を増やすからだと」 著名な人権活動家であるファルザナ・バリ博士は、「女性蔑視的」で「家父長的」な反応だと主張した。 バリ博士は、ユサフさんには「自分の考え」があるとし、オンライン上でのこうした議論は、パキスタンの「女性のコンテンツ・クリエイターにとって、ソーシャルメディアが非常に脅威的な場所」と化してしまったことを思い起こさせるものだと指摘した。 イスラマバード警察のサイード・アリ・ナシル・リズヴィ氏は、ソーシャルメディアのインフルエンサーになることを選んだ女性たちは、「我々の励ましと支援を受けるに値する」と述べた。そして、ユサフさんの殺害は「悲劇」だと付け加えた。 バリ博士は、当局が事件を公に非難したことは、今後の変化につながる前向きな兆候だとした。 容疑者は元公務員の息子とされる。警察によると、パンジャブ州ファイサラバード出身だという。 (英語記事 Teen TikTok star shot dead after man broke into her home, police say)

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