武力衝突1カ月、続く情報戦 外交団が各国行脚、対話進まず 印パ

【ニューデリー時事】インドが「対テロ」を名目に隣国パキスタン領内を攻撃してから7日で1カ月。 米国の仲介もあり、武力衝突は4日間で収まったが、印パ両国はその後も国内外で情報戦を展開している。 5月10日の停戦合意後、インドは自国の立場への支持を訴えるため日本を含む30カ国以上に超党派議員団を派遣した。6月上旬の米国訪問団を率いたシャシ・タルール下院議員はインドメディアに「テロとの戦いに対する無条件の連帯と軍事作戦の必要性への完全な理解を得られた」と手応えを語った。 国内では、パキスタンのためにスパイ行為を働いた容疑でユーチューバーを相次いで逮捕するなど、取り締まりを強化している。 パキスタンも議員団を各国に送った。パキスタン政府が武力衝突のきっかけとなった4月22日のテロを支援したとのインド側の主張について、根拠がないと改めて主張。印パが領有権を争うカシミール地方を巡る問題解決に国連の仲介を求めた。 インドを返り討ちにしたとの国内向けの宣伝にも余念がない。「比類ないリーダーシップで歴史的勝利を達成した」(首相府)と軍部トップであるムニール陸軍参謀長の功績をたたえ、「元帥」に昇格させた。 南西部バルチスタン州で5月下旬に起きた通学バスの爆破テロでは、シャリフ首相が「インドの支援を受けたテロリストによる攻撃」と主張。インドこそがテロ組織を支援しているとアピールした。 テロ以降、印パが互いに打ち出した国境閉鎖や貿易停止といった措置が解除されるめどは立っていない。特にインドが一方的に宣言したインダス川水資源利用協定の履行停止は、下流に位置するパキスタンにとって死活問題。履行再開を求めインド側に対話を呼び掛けている。 しかし、インド外務省のジャイスワル報道官は「パキスタンが国境を越えたテロへの支援を確実かつ不可逆的な形でやめない限り、(協定は)停止したままだ」と述べ、対話に応じる姿勢を見せていない。

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