国の新型コロナウイルス対策の持続化補助金を不正に受給したとして、警視庁捜査2課がウェブ制作会社社長ら男性3人を詐欺容疑で逮捕したことが捜査関係者への取材で判明した。警視庁は、3人が2020年3月~21年12月に、50件以上の不正申請に関与し、7500万円以上の補助金をだまし取っていたとみている。 逮捕されたのは、東京都港区のウェブ制作会社社長、石橋卓磨(37)▽千葉県八千代市の会社役員、内田雅仁(41)▽目黒区の自営業、平田晋作(40)――の3容疑者。逮捕は23日。 捜査関係者によると、3人は新型コロナの感染拡大期に小規模事業者を支援する国の持続化補助金の制度を悪用したとみられる。対象事業者には最大150万円が支給される。 逮捕容疑は、共謀して21年4~9月、東京都内の30代の男性会社員に事業を経営しているように装わせて、補助金の事務局を務める日本商工会議所に対し、虚偽の書類を提出させて補助金を申請し、現金150万円を独立行政法人「中小企業基盤整備機構」からだまし取ったとしている。 平田、内田両容疑者は、個人事業主らを集めるイベントを開き、参加者から不正申請をする人を募っていたとみられる。起業に興味を持っていた男性会社員に「最大150万円を受給できる。経営計画書を作らないといけないので、その支援をします」などと勧誘し、不正申請の方法を指南したとされる。 さらに、申請者の事業実体があるかのように偽装する工作もしたとみられ、石橋容疑者らは申請者の口座に前もって現金約230万円を振り込んだ上で、その金を石橋容疑者ら3人と関係する三つの会社に送金させていた。これにより、補助対象のウェブサイト製作費などの事業費を支払ったと装う「実績報告書」を作成させていたという。こうした指示は無料通信アプリ「LINE(ライン)」のグループチャット上でされていた。3人は、最終的に支給額から計135万円を手数料として受け取っていたという。【山本康介】