娘の無念…晴れず 座間事件・死刑執行、福島県被害者の遺族吐露

座間事件の白石隆浩死刑囚(34)の死刑執行を受け、福島県福島市の高校3年生の娘=当時(17)=が犠牲になった父親(70)は27日、福島民友新聞社などの取材に応じた。父親は「(白石死刑囚が)事件について反省するとは思っていないが、生きて自分が起こした罪に向き合ってほしかった。死ぬことは何の償いにもならない」と心境を明かした。 午前9時半ごろ。娘と座った思い出の黄色のソファでテレビを見ていた時、白石死刑囚の死刑執行を知らせるニュース速報が突然流れ、体が一気に熱くなったのを感じた。「犯人が亡くなったことには何の感情も湧かなかった」。事件当時、娘が亡くなった状況を思い浮かべては「生きていられない」と感じ、事件に対する感情を胸の内に閉じ込めるようになったからだという。 事件前、父親はがんや腎不全で病院に通っており、「娘の悩みを聞く余裕がなかった。だから娘は事件に巻き込まれたのではないか」と自分を責め続けている。座間の事件以降も交流サイト(SNS)を通じて自殺願望のある子どもらが事件に巻き込まれるケースが後を絶たない。父親はこの現状を「だます人がいる限り、こういった事件はなくならないのではないか」と受け止める。 「娘は今も一緒に生きている」。自宅に置かれた娘の小さな骨つぼが父親の生きる支えになっている。「犯人が死刑になっても事件は終わらない」。生きていれば今年で25歳を迎えるはずだった娘の無念を思い、静かに語った。

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