「ルフィ」などと名乗るグループの幹部がフィリピンの拠点から指示して繰り返された広域強盗、特殊詐欺事件は、警察当局が匿名・流動型犯罪(トクリュウ)対策を強化するきっかけとなった。 既に有罪判決が確定した実行役もいるが、幹部の公判は小島智信被告(47)が初めて。他の幹部の証人尋問も行われる可能性があり、組織の実態がどこまで解明されるかが焦点だ。 一連の広域強盗事件は2023年1月、東京都狛江市で高齢女性が暴行を受け死亡した事件を端緒に捜査が本格化。22年12月に中野区で起きた別の強盗事件で、逮捕された実行役のスマートフォンを調べた結果、匿名性の高い通信アプリを使った指示役が、狛江事件にも関わっている疑いが浮上した。 警察当局は、発信元をフィリピンの入管施設と特定。23年2月、いずれも幹部とされる渡辺優樹(41)、今村磨人(41)、藤田聖也(41)、小島各被告が日本へ移送され、国内にいた実行役らも次々逮捕された。 グループは特殊詐欺のほか、SNSなどで「闇バイト」に応募した実行役らに通信アプリで指示する手口で、千葉、東京、京都、広島、山口各都府県などで強盗事件を起こしたとされる。 このうち狛江事件では実行役の男4人のうち、当時19歳だった1人が一、二審で懲役23年の判決を受け、上告中。ほか3人はいずれも無期懲役とされ、1人は控訴を取り下げ確定し、2人は東京高裁で控訴審が続いている。