タレントやスポーツ選手の性暴力報道、教師による盗撮行為、医師によるわいせつ事件……、非常に残念なことだが、ニュースを見ると、毎日のように性犯罪事件が報道される。実際に、痴漢に遭ったことがある女性は珍しくないし、通勤電車の中などで乗客の女性が被害に遭っているのを目撃したことがある男性も少なくないだろう。 警視庁による令和5年の痴漢の検挙数は2,254件となっているが、被害を受けても被害届を出すケースは少なく、多くは泣き寝入りであることを考えれば実際の被害はこれを大きく上回ることは想像に難くない。 そして、その性犯罪の数だけ加害者とその家族の存在がある。加害者の家族は、世間から苛烈な非難を受け、負の烙印を押され社会から抹殺されてしまうケースも少なくない。家族が逮捕された途端、いつもの日常が失われ、「生き地獄」とも言える状況に叩き落される現状を克明にレポートした著書『夫が痴漢で逮捕されました-性犯罪と「加害者家族」』を書いた西川口榎本クリニック副院長の斉藤章佳氏(精神保健福祉士・社会福祉士)に、中編では加害者家族の中でも特に非難が集中する加害者の母・妻について聞いた。