息子が痴漢で逮捕され「風俗に行けばよかったのに」と言った父親も。母たちとの大きな「違い」

犯罪。とくに性犯罪が報道されるとき、加害者の生い立ちや生育状況について言及されることが多い。彼らが犯した卑劣な性加害そのものに憤りつつ、「いったい家族は何をしていたんだ!」「親はどんな育て方をしたんだ!」というコメントが、ネットニュースやSNSのコメント欄に溢れる。 性暴力は許してはならないし、性犯罪がない社会を作っていかねばならない。しかし、だからといって、加害当事者だけでなく、家族に対しての誹謗中傷が性犯罪抑止につながるとは考えにくい。たとえニュースで大々的に報道されなかったとしても、他の犯罪以上に性犯罪者の家族には強い嫌悪感や非難が向けられ、白眼視されやすい傾向がある。そして、彼らの苦しみは透明化され、長い間見過ごされてきた。 そんな「隠れた被害者」にスポットを当て、彼らの知られざる悲惨な実態について著書『夫が痴漢で逮捕されました-性犯罪と「加害者家族」』(朝日新書)で詳細にレポートしたのは、性加害者の治療や更生、加害者家族支援の最前線に関わる西川口榎本クリニック副院長の斉藤章佳氏(精神保健福祉士・社会福祉士)だ。 前編・中編の記事では、世間だけでなく親族からの批判が集中する「母親・妻」について聞いた。後編では、加害者家族の中でもその存在が見えにくいというか、どこか部外者のようにも見えてしまう「父親」についてクローズアップする。

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